天津佳之(あまつ・よしゆき)1979年静岡県伊東市出身、大正大学文学部卒業。書店員、編集プロダクションのライターを経て、現在は業界新聞記者。大阪府茨木市在住。
天津佳之(あまつ・よしゆき)1979年静岡県伊東市出身、大正大学文学部卒業。書店員、編集プロダクションのライターを経て、現在は業界新聞記者。大阪府茨木市在住。

 15歳の高校受験真っただ中、勉強するふりをして物語らしきものをつづり出したのが、そもそもの始まりでした。以来25年余り。気が付けば文章を書くことが生業となり、そして今、小説ということにようやく手が届いた感慨をかみ締めています。

 「書かなければならない、と思うことを書きなさい」。ある人が私にくれた言葉です。書かなければならない、今の時代が必要とすることは何か。時代を知るには、その前の時代を、貫く流れを知らなければ。そう考えることが、私を歴史に導きました。そこには、この国に連綿と受け継がれてきた哲学や美学、そして先人たちの生き様がありました。もちろん、上手(うま)くいったことも、いかなかったこともあります。ただ、いつの時代も確かな理想があった。それを伝えなければという思いが、私の原点です。

 鎌倉末期から南北朝期は、とかく恣意的な評価を受けてきた時代ですが、近年になり自由に論じることができる空気が醸成されてきたように思います。令和という新しい時代にあって、改めてこの時代を描くことは何がしかの意味があるのではないか。そう思い資料に当たってみると、そこには、敵味方を超えて理想を追い求めた、気持ちの良い男たちの姿がありました。どうか、それが読者の皆様に伝わればと念じて已(や)みません。

 最後に、これまで支えてくれた家族と友人たちに、選考委員の先生方、関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

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