2 つめの理由は、比喩を使った説明が混乱を招きやすいことです。比喩による混乱は技術そのものの問題というよりも、説明の仕方の問題と言えるでしょう。OOP の仕組みは、現実世界の様子になぞらえて、次のように説明することがよくあります(図1.3)。

 「動物がスーパークラスで、哺乳類や魚類がサブクラス。卵を産みミルクで子供を育てるカモノハシは、は虫類と哺乳類を多重継承している」

 「人は“生年月日”という属性を持つ。具体的な人である田中さんに“年令を教えてください”というメッセージを送ると、“28 才です”と答えが返ってくる」

 「病院で医師や看護師、薬剤師が連絡し合いながら仕事をするように、オブジェクトもコンピュータの中でメッセージを送り合いながら仕事をする」

 こうした説明をすることで、複雑なOOP の仕組みを印象的に伝えることができます。しかしこのような説明だけで終わらせてしまうと、比喩のほうが強い印象として残ってしまい、OOP が実際のプログラミングの場面でどう便利なのかは伝わりづらくなります。



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