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令和トランスフォーメーション -コミュニティー型社会への転換が始まる-

価格 1,980円(税込)
ISBN 978-4-296-10926-5
発行日 2021年5月24日
著者名 鈴木裕人、三ツ谷翔太 共著
発行元 日経BP
ページ数 226ページ
判型 四六判

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内容紹介

本書では、グローバル資本主義が限界を迎える中、次のパラダイムとしての「コミュニティー型社会」の形成を軸に、社会・産業・企業の三位一体での変革を進めることこそが、令和の時代における日本にとってのトランスフォーメーションとなるとの強い思いから、僭越ながら少々大袈裟なタイトルをつけさせていただいた。

平成の30年間においては、良くも悪くもグローバル資本主義にほだされる形で昭和の社会・産業構造を引きずったまま成長を続けてきたのが日本社会であり日本企業であったが、その前提となってきたグローバル資本主義に限界が見え、今や「グレート・リセット」が叫ばれる時を迎えた。そして、次のパラダイムでは「コミュニティー資本主義」とでもいうべき動きが広がる。令和の時代においては、小規模なローカルコミュニティーをベースにした社会システムへの転換が必要になる。「官民の枠を超えてのコミュニティー形成」に向けた社会・産業・企業一体での「令和トランスフォーメーション」こそが求められる--というのが本書の主張だ。

では、こうした次世代のコミュニティー型社会とはどのようなものか。その一例として分かりやすいのが、トヨタ自動車が2020年に米国のデジタル見本市「CES」で発表したスマートシティー構想「woven city(ウーブン・シティ)」だ。具体的には、静岡県裾野市におけるトヨタ自動車東日本東富士工場の跡地を開発地域とする都市計画で、将来的には2000人以上の住民が暮らすコミュニティーの形成を目指している。これの意味するところは、日本を代表するグローバル企業であるトヨタが、自動車という製品を提供することを超えて、人々の生活全般を通じた価値提供を目指すために自らの資金を投じ都市開発に参入するということだ。トヨタがモビリティーを軸とした社会インフラ企業に変わっていくことの宣言ともなる。

次世代のコミュニティー型社会の形成は、その主役ともいえる役割を期待される企業にとっても大きなチャンスだ。主役として想定されるのは、トヨタ自動車などこれまでグローバル資本主義全盛期の中で日本経済を大黒柱としてけん引してきた自動車・エレクトロニクスメーカーや、近年事業と投資の両面から積極的に海外展開を進めている通信会社などのグローバル企業である。

コロナショックを機に、世界的な構造変化がさらに加速した。今後はグリーンリカバリー政策のように、ポストコロナの経済刺激の目的も兼ねて、各国において社会インフラへの投資が進んでいくだろう。また、世界的には機関投資家を中心としたESG(環境・社会・ガバナンス)への関心の高まりに伴う投資マネーの動きもある。つまり、社会インフラ整備に向けては、政府投資とESG投資という、2つの大きな「金流」が生まれてくる。日本企業にとっての活路が、ここにある。

本書では、日本における令和トランスフォーメーションを、「社会」としての目指すべき姿:SX(ソーシャル・トランスフォーメーション)、「産業」としての目指すべき姿:IX(インダストリアル・トランスフォーメーション)、「企業」としての目指すべき姿:CX(コーポレート・トランスフォーメーション)の3つの観点から説き起こしていく。

◆目次
第1章   令和トランスフォーメーションとは
2040年の日本の姿
■ コロナショックで加速する「コミュニティー型社会」の勃興
◆ ① マクロな経済成長ドライバーの変化:「グローバル」から「グリーン」へ
◆ ② 働き方の変化:「リアル」から「バーチャル」へ
◆ ③ 都市構造の変化:「過度な集中」から「適度な分散」へ
◆ ④ 社会インフラの担い手の変化:「政府」から「民間」へ
■ 2040年の日本の目指すべき姿とは
◆SX(ソーシャル・トランスフォーメーション):
行政・企業・個人の協働による新たなローカルコミュニティーの形成
◆IX(インダストリアル・トランスフォーメーション):
グローバルからローカルソリューションへの産業重心シフト
◆CX(コーポレート・トランスフォーメーション):
グローバル+ローカルソリューションのバランス型事業ポートフォリオの構築

第2章   SX:行政・企業・個人の協働による新たなローカルコミュニティーの形成
2040年の日本の「社会」の姿
■ ポストコロナ時代の新たな社会システム
◆ 社会システムが問われていること
◆ ポストグローバル資本主義の流れの中でのコミュニティー
◆ 新たなコミュニティー形成に向けた実現技術
◆ ユーザー視点からのコミュニティー価値の最大化
◆ 今こそが変革の時
■ 次世代コミュニティーの形成に向けた必要アクション
◆ 新たなローカルコミュニティーの3つの形成パターン
◆ ① 行政主導型:コンパクトシティー構想など行政旗振りでの社会資本投資
官民のデータ連携の必要性
お金の流れを再設計する
◆ ② 個人主導型:地方・郊外への人口移動を契機としたコミュニティー形成
集まってきた人材を生かす
住民の参画を促す仕組みを整備へ
◆ ③ 企業主導型:グローバル企業の街づくり参入などを通じた社会資本投資
企業が街づくりへと向かう理由
企業主導における落とし穴とは
データと地域文化づくりが重要
◆ 企業からの社会資本投資が大きな変革ドライバーに
■ 新たなローカルコミュニティーがつくる未来の日本
◆ 基礎自治体の単位から街の単位へ
◆ 行政によるサービスから企業によるサービスへ

第3章   IX:グローバルからローカルソリューションへの産業重心シフト
2040年の日本の「産業」の姿
■ 転機を迎えたグローバル産業の生き残る道
◆ グローバル資本主義の恩恵を受けてきた日本のモノづくり企業が岐路に
◆ 国別シェアから見る日本の産業構造上の特徴
◆ 米国はITと航空機が2大基幹産業に
◆ 自動車と医薬品が2大産業の欧州
◆ 中国・韓国・台湾の産業構造
■ グローバル産業における日本の4つの勝ちパターン
◆ ① グローバルニッチトップ産業財
◆ ② カスタムソリューション型システムインテグレーション
◆ ③ 日常型プレミアム消費財
◆ ④ ニッチ特化プラットフォーム
◆ 勝ち残りのカギは「フラグメント化領域をあえて狙う」こと
■ 新たな成長ドライバーとしてのローカルソリューション産業
◆ コミュニティー形成のための社会資本整備が新たな活路に
◆ ローカルソリューション産業の担い手は誰か
◆ ① コミュニティー形成の実績を持つ「鉄道会社」の可能性
◆ ② 電力・石油・ガスの既存「エネルギー事業者」も有力
◆ ③ 投資余力が大きな「通信事業者」は主役となる有望株
◆ ④ それぞれに強みを持つ「不動産・総合商社・小売・物流」
◆ ⑤ 資金とノウハウを持ち込む「グローバルメーカー」(自動車・電機など)
◆ 本命は誰か
◆ 地域ごとにフラグメント化するローカルソリューション産業の構造

第4章   CX:グローバル+ローカルソリューションのバランス型事業ポートフォリオの構築
2040年の日本の「企業」の姿
■ コロナショックが浮き彫りにしたポートフォリオマネジメントの重要性
■ グローバル+ローカルソリューションのバランス型事業ポートフォリオとは
◆ まさに「両利き」の経営が求められている
◆ ① グローバル事業・ローカルソリューション事業併存型
クボタ:グローバルな機械事業とローカルな水環境事業の2本柱
神戸製鋼所:本業深耕に加え電力など社会インフラ事業へ
AGC/積水化学/旭化成:建材・住宅事業を持つ素材メーカー
◆ ② グローバル事業→ローカルソリューション事業移行型
トヨタ自動車:グループ挙げてローカルソリューション事業へ
IHI:航空エンジン一強から社会インフラ事業再強化へ
パナソニック/ソニーグループ:ローカルソリューション分野で存在感
日立製作所/総合商社:ローカルソリューション事業のグローバル展開
◆ ③ グローバル事業再挑戦型
NTTグループ/NEC:GAFAへの対抗軸形成へ

第5章   SX/IX/CXで日本の存在感を世界に示す
■ 国家間におけるガバナンス構造の優位性競争
◆ 感染拡大阻止を巡っても対立を深めた米中
◆ 独自の立場を貫く欧州、「リープフロッグ」を進める新興国
◆ 「グレート・リセット」の行方
■ 日本発のグローバル・トランスフォーメーションへ
◆ 世界的な世代交代による価値観変化が最大のドライバー
◆ 政府投資とESG投資という2つの「金流」が動く
◆ もともと日本に根付いていた三位一体の概念
エピローグ   あとがきにかえて
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