2018年7月4~6日の3日間、東京国際フォーラム(東京・有楽町)において、日経BP社では「Human Capital 2018」を開催した。本年は、経営と人事と現場が一体となって会社を変えていく「働き方改革 第二章」にフォーカス。企業の生産性向上、人財活用、ワークスタイル変革などの課題を解決するソリューションを持った約170社が出展、来場者数は約19,000人にも及んだ。この最終日、ワークスタイル変革の要としてテレワークとダイバーシティについて考えるセミナーを実施。テレワークを主導する政府担当者・先進企業の講演、ディスカッションの中から、総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室長の渋谷闘志彦氏による基調講演「テレワークの推進とワークスタイル変革」の内容をお届けする。
(構成=吉村克己、写真=稲垣純也)

テレワークの効果は「三方良し」

 2016年7月から関係府省連絡会議を開催し、テレワーク推進に向けた各府省の取り組みの共有や連携施策を検討しています。厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房・内閣府、そして総務省がそれぞれの立場から連携し、総務省がとりまとめて推進しております。

 総務省ではICTを活用した働き方を推進しています。ひと昔前はテレワークというと、在宅勤務と認識されていましたが、現在では、サテライトオフィスやカフェや駅などでのモバイル勤務なども含めた、幅広い概念でとらえています。

渋谷闘志彦氏
総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室長 渋谷闘志彦氏

 テレワークの効果は様々ですが、就業者にとっては、仕事と育児、介護、治療などの両立、通勤時間の削減などのメリットがあります。企業にとっても、生産性の向上や、これまで辞めざるを得なかった人が辞めなくてもすむようになり、優秀な人材の確保や離職防止、ペーパーレス化、事業継続性の確保(BCP)などの効果があります。社会全体にとっても労働力人口の確保、地域の活性化などに役立ち、「三方良し」といえるのではないでしょうか。

大手に比べ中小企業で遅れている取り組み

 テレワークの導入によって1社当たりの労働生産性が1.6倍になるという総務省のデータ(2017年6月公表)もあり、経営者にとっては、テレワークを導入する分かりやすいきっかけとなるのではないでしょうか。さらにデータを集めて経営層に訴えていきたいと考えています。

 マイナビによる大学生就職意識調査(2019年卒)では、自分の就職観に最も近いものとして、第2位に「個人の生活と仕事を両立させたい」が挙がっており、若者はワークライフバランスを重視していることが分かります。今後、企業はさらに、ワークライフバランスに力を入れないと、優秀な学生が集められなくなっていくでしょう。

 しかし、テレワークの普及状況はまだこれからです。総務省の「平成29年通信利用動向調査」では従業員300人以上の企業では23%が導入している一方、300人未満の企業では10.2%しかありません。そして従業員数100人以上の企業ですでに導入している企業は13.9%に過ぎず、導入予定を含めても18.2%です。導入済みの企業でも、利用している社員の割合は5%未満という企業が半分以上あります。