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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える後期臨床研修医へのメッセージ 〜静岡県立総合病院のメンターから〜 第7回

後期臨床研修医へのメッセージ 〜静岡県立総合病院のメンターから〜 第7回

静岡県立総合病院 副院長兼 がん診療部長兼 消化器センター長 高木正和 氏

2018.09.21 21世紀医療フォーラム取材班

初期臨床研修を終了した後、県立3病院の各診療科で専門分野の基本となる知識と技術の習得を目指すのが、後期臨床研修医(卒後3年以降)である。静岡県立総合病院の各科のメンターから、後期臨床研修医へのメッセージをお届けする。

全国有数の手術症例数と優秀な医師のもと
患者さんを治すという強い責任感を育てたい

はじめに、消化器センターでの後期臨床研修について、教えてください。

高木 消化器外科の中には食道・胃外科、肝胆膵外科、大腸外科という、3つのグループがあります。最初の1年目と2年目は3カ月ずつ、この3グループをローテーションしていきます。その中で2年間の研修が終わると、次の3年目はさらに自分の専門としたい科で学ぶこともできます。

各グループには十分な数の指導医を配し、専門医の資格を持っていたり、内視鏡外科学会の技術認定を持っている優秀なドクターたちが多数います。私たちは、全国でも有数の手術症例数を持っているため、その症例に接しながら、当病院の標準的な手術、術後管理といったものを数多く見て、消化器外科医は何をどのように見て、どう考えるのか、毎日研鑽を積んでもらいたいと思います。

最近の手術は、半分以上が鏡視下手術、内視鏡手術になっています。鏡視下手術は、モニターに映る画面を手術室全員が共有して行う手術で、全ての手術スタッフが術者の手技を見て勉強することができます。当然、術野でも術者の技術は見られますが、さらにその画像をDVDに落とすので、何度でも復習可能です。外科医として責任感を持ち、最後まで患者さんの治療に当たる。辛いこともありますが、決してへこたれず、患者さんのために頑張る姿勢を3年間で学んで欲しいと思っています。

高木先生ご自身は、これまでどのようにして学んでこられましたか。

高木 先輩の医師から、「今回はこれをやってきなさい」「この患者さんについてはこれを勉強してきなさい」あるいは「こんな準備をしたらどうだろうか」という、いくつもサジェスチョンを受けて育ってきました。自分の経験を増やし、自分の身に付けていく、それが私たち外科医としての生き方だと考えています。

私たちの病院には多くの専門家がいるので、少しずつ、個人によっては違う手術が行われることはあります。しかし、その根底にあるのは、例えば1つのがんについては、この手術が当病院の標準的な術式というものがはっきりしています。これをまず3年間で学んで欲しい。私たちもそうやって学んできました。

ここは血管を糸で結ぶのか、あるいは機械でつまんで切るのか。小さなことのようですが、一つひとつを標準化することで多くの人間がチームとして円滑に手術を進めることができるようになります。何人かの専門家の先生たちの手術を見たり、その指導を受けながら標準的な手術を勉強していくと、少しずつ自分でここはこうした方がいいかもしれないということが思い浮かぶことがあります。しかし、標準的な術式がきちんとできるようになった後、次のステップとして自分で考えるようにしたらどうだろうかと勧めています。

次のステップでは、どのようなことができるようになりますか。

高木 先輩たちからより多くの手術を学び、短い期間で必要な症例数をこなし、手術の実習もできる。そうすると、次の残った時間でサブスペシャリティへのチャレンジができる可能性も、技術認定に向けて技を磨くことも十分可能だと考えています。ここが言ってみれば最終決定機関です。カンファレンスでこの患者さんは手術にしようと決めたら、みんなで懸命に手術をする。あるいは、この患者さんは手術はやめて放射線化学療法でいこう、手術後は化学療法でいこうと決めれば、その通りに従う。その結果、さらにそのカンファレンスでもう一度振り返って、みんなでアウトカムを共有する。こうしたことを繰り返しながら、さらに次の段階へ進むことができます。

私たちは運命共同体と言っていますが、私たちのグループの誰が沈んでもうまくいきません。全ての領域のスタッフが毎週火曜日に集まり、症例についてカンファレンスをすることを繰り返しています。

静岡県立総合病院は、2017年秋に先端医学棟が完成しました。ここではどのようなことができますか。

高木 昨秋に完成した先端医学棟の中に22の手術室を持っています。私たちが心血を注いだのは、最先端の技術に触れる医師たちのために、鏡視下手術の部屋室、ロボット支援手術のための2部屋、その他多くの最先端技術を盛り込みました。当病院では、この最先端の技術を使い、一人でも多くの患者さんに一日も早く良い医療を提供したいと考えています。

目の前の患者さんを治そうとする責任感、患者さんのために懸命に治すという強い気持ちを持った若い先生に私たちの病院に集まってもらい、一緒に研鑽を積みたいと思います。

第7回終わり(第8回に続く)

医療を変える