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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える後期臨床研修医へのメッセージ 〜静岡県立総合病院のメンターから〜 第5回

後期臨床研修医へのメッセージ 〜静岡県立総合病院のメンターから〜 第5回

静岡県立総合病院 糖尿病・内分泌内科医長兼遺伝診療科医長 米本崇子氏

2018.09.07 21世紀医療フォーラム取材班

初期臨床研修を終了した後、県立3病院の各診療科で専門分野の基本となる知識と技術の習得を目指すのが、後期臨床研修医(卒後3年以降)である。静岡県立総合病院の各科のメンターから、後期臨床研修医へのメッセージをお届けする。

学びならステップアップできる環境
院内保育所や夜間保育の対応も万全

糖尿病というと、私たちもよくその名を聞く身近な疾患というイメージです。

米本 糖尿病は患者さんの自己責任で生活習慣病的な側面が強いと思われがちですが、私たちの科では内分泌疾患の一つとして糖尿病を捉えています。そうした見方をすることに加えて、昨今、糖尿病の原因の半分は遺伝学的な要素で決まっているといわれているため、遺伝学的な背景が個々の患者さんにおいて、どれくらいの意味合いを持っているかも合わせて考えるようにしています。

そうした取り組み方は、後期臨床研修でも反映されていますか。

米本 糖尿病を形づくっている原因が何なのかは、個々の患者さんによって違います。遺伝的背景なのか、生活習慣なのか、他のホルモンの疾患の合併があるのか。そういったことをきちんと組み立てられる知識を研修医のみなさんが整理できる体制を整えています。また、患者さんの原因がわかったところで、治療に結び付けるためにも薬に頼るだけではなく、他に何か必要なアプローチがないかどうかも、一緒に考えながら学んでもらえる職場です。

オプションの選択肢として、様々な治療方法が提示できるよう治療の幅を広げるためには、自分の知識の幅が広くなければできません。学年が上がると、教科書には載っていないようなプラスαの、応用編の治療が使えるようにいきます。病気とうまく向き合っていけば、3年後、5年後にはこういった治療も可能になるという希望を与えることも、治療の重要な意味だと思っています。

後期臨床研修で学ぶ際に、重要なことは何でしょうか。

米本 後期臨床研修医になると、「もっとできることができるはずだ」と、みんな貪欲になってきます。そこで教科書を読みあさるのではなく、医師には自分で解決したいという気持ちがあるので、科学で還元するためにリサーチに結び付けることを考えています。また、現場で起きていることを当病院の上級医と相談をしながら、英語の文献やエビデンスを元に、さらに自分の治験を積み重ねていくことがトレーニングしていくことが大切です。

糖尿病、内分泌疾患の経験を積むとすれば、3年あれば一通りの疾患は診られるようになると思います。専門医の取得もそうですが、それ以外の医師として必要な知識、経験、度胸といったものは、3年経験すれば、自信を持って独り立ちできるはずです。難しい症例に関しては、それぞれの診療科が不定期で集まり、全員で討議する。主治医だけでなく、全ての診療科の専門医師が十分に討議し、一番良い治療法を考えるスタイルを採用しています。最近は当直も複数人で、1人当たりの負担が少ない体制を整えています。

医師として糖尿病・内分泌科に携わる面白さを教えてください。

米本 全ての患者さんに対し、私たちが責任を持って最後まで診ることが、この科の特性ですが、糖尿病、内分泌においては本当にそうした状況になっていることを実感しています。他の診療科と連携を図ることも多く、他の診療科も大学病院の先生に引けを取らない熱心で責任ある先生方が揃っていますので、「どんな病気でもかかってこい」という思いで、糖尿病・内分泌科に携わることができるのが、当科の面白さです。

糖尿病・内分泌科の雰囲気はいかがですか。

米本 若い先生たちも、ある程度自由に意見が出せる職場です。若い後期臨床研修医、専攻医の先生たちが、こうやってみたい。患者さんにはこうした方がいいという意見を出した場合、「君がそこまで言うならやってみろ」と、寛容な精神があると感じています。若い先生はトライ&エラーを繰り返しながら育っていくことができます。

働き方改革が話題となっていますが、女性の医師として、福利厚生面についてはいかがですか。

米本 私には6歳になる長女が1人いますが、院内の敷地内にある院内保育所に預けています。この保育所は看護師さんと共有で、最近は女性医師も増えたことから、女性医師の子どもさんが預けられていることも増えています。病院という環境ですから、夜間の保育も充実していて、通常19時までのところ、届け出をすれば21時、あるいは泊まりの保育にも対応してもらっています。

最後に、後期臨床研修医に参加する若い先生へのアドバイスをお願いします。

米本 どんな分野が好きかというのは、やってみないとわからない部分があるので、まずは糖尿病、内分泌を広く勉強してみて、自分はここが好きだというところが見つけられたら、その指導教官と共に論文が書ける、リサーチができるところまでステップアップができる環境です。ぜひ当病院で医学の発展、患者さんのための医療に携わってもらいたいと思います。

第5回終わり(第6回に続く)

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