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21世紀医療フォーラム 良い医者、良い医療を創るプロジェクト
トップページ医療を変える後期臨床研修医へのメッセージ 〜静岡県立総合病院のメンターから〜 第4回

後期臨床研修医へのメッセージ 〜静岡県立総合病院のメンターから〜 第4回

静岡県立総合病院 循環器診療部循環器センター長 心臓血管外科 恒吉裕史 氏

2018.08.29 構成:21世紀医療フォーラム取材班

初期臨床研修を終了した後、県立3病院の各診療科で専門分野の基本となる知識と技術の習得を目指すのが、後期臨床研修医(卒後3年以降)である。静岡県立総合病院の各科のメンターから、後期臨床研修医へのメッセージをお届けする。

最も安全な手術で合併症を起こさない
その手法を徹底的にトレーニング

まず、心臓血管外科の特長について教えてください。

恒吉 私たち心臓血管外科では、年間400件近い手術を5人という少人数で行っています。これは大学病院よりも多い症例数です。通常の手術に加え、LVAD(補助人工心臓)の手術のほか、心臓も血管もステントや抹消血管に至るまで取り組んでおり、全ての分野について幅広く学ぶことができます。

また、ハード面でも非常に優れており、昨年7月、当病院に新棟が完成し、手術室が22部屋になりました。そのうち2部屋は心臓血管外科の専門手術室で、この手術室を使うことでさらに症例数を増やしていくことができると思っています。

恒吉先生は、どのようにして学んでこられたのですか。

恒吉 6年ほどカナダのトロントに臨床留学しました。その目的は、心臓血管外科の世界では神様といわれる著名な心臓外科医、タイロン・デービット先生に学びたくて、卒後11年目に志願して留学し、その後トロント・ジェネラルでクリニカルフェローとして働きました。タイロン・デービット先生は、どんな場合でも的確に最適な方法を選んで手術し、しかも時間は非常に短く、合併症もない。たとえ合併症が起こっても、瞬時に次のステップに進む。そういった手技を目の当たりにし、大いに学ぶことができましたが、こうした面で日本は少し遅れていると思います。

今後、当病院に後期臨床研修に来てくれる先生たちには、私自身が受けてきた海外の研修医の教育、若手の心臓血管外科医の教育を、ぜひ実践したいと考えています。

若いうちに経験しておいた方が良いことは何でしょうか。

恒吉 症例の数は絶対的に必要です。ただし、数さえ多ければいいのではなく、手術が多い施設できちんと勉強することが不可欠なので、教育のシステムが整備されていないまま数だけが多い施設はおすすめできません。症例数が多く、かつ適切な教育が受けられるところが若手の心臓外科医にはベストです。

それでは、後期臨床研修のポイントについて教えてください。

恒吉 後期臨床研修医が心臓血管外科に初めて触れたとき、最も大事なのはバックグラウンド、心臓血管外科の手術に対するストラテジーなので、どのような手術方法を採れば1番安全なのか、どうしたら合併症が少なくなるかを徹底的に学んでもらいます。また、手術後は集中治療室における集中管理が必要になるため、そうしたトレーニングも欠かせません。

心臓血管外科医の面白さ、やりがいについてお聞かせください。

恒吉 心臓血管外科の場合、手術がうまくいくと患者さんはとても元気になります。手術前は胸が痛かったり、歩けなかったり、心不全で辛そうだった患者さんが弁置換やバイパス、あるいは人工血管置換などを適切に行うと見違えるようになって、歩いて元気に帰られる患者さんも数多くいます。心臓の手術は、がんや他の消耗性の疾患と比べると機能的な疾患であり、その機能を改善すると、劇的に心臓のポンプの働きが良くなり回復します。

もちろん、心臓の手術が全てではありませんが、良くなるうちの約80%は手術で決まるので、良い手術ができれば、患者さんは確実に元気になって帰ることができます。そして、それを患者さんも家族もとても喜んでくれるので、そういった面でやりがいを感じられます。

ただ、他の科と比べ、特に心臓血管外科は下積み期間が長いため、若い先生にとって最初は少し戸惑うこともあるかもしれません。しかし、私のところに来てくれれば、そうした精神面も含めて着実にステップアップさせ、上達することが可能です。どこの病院に行っても恥ずかしくない外科医として指導をしていきますので、ぜひ静岡県立総合病院に来てください。

第4回終わり(第5回に続く)

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