ニュース

記事一覧

小浜市、クラウド漁業やKDDIとIoT使ったサバ養殖、総務省の地域IoT実装推進事業で

河野彩香 = チカラ【2017.12.1】

「『鯖、復活』養殖効率化プロジェクト」の事業内容
[画像のクリックで拡大表示]
「うみのアメダス」の測定装置
[画像のクリックで拡大表示]

 福井県小浜市とクラウド漁業(大阪府豊中市)、KDDIは、小浜市漁業協同組合、福井県立大学と共同でIoTを活用してサバの養殖を効率化させるプロジェクトを開始する。本格運用は2018年2月の予定だ。

 小浜市は2016年から、産業振興や誘客促進による地域活性化を目指して、「「鯖(さば)、復活」プロジェクトをスタート。17年7月に、ICTやIoTの地域活用を推進するための総務省の「情報通信技術利活用事業費補助金(地域IoT実装推進事業)」に「『鯖、復活』養殖効率化プロジェクト」として採択され、今回の取り組みが具体化した。公募によってプロジェクトの受託者として決定したのが、クラウド漁業とKDDI。IoT実装による事業の本格運用は18年2月の予定で、補助金額は17年度分の事業費に当たる約1600万円となる。

 小浜市はかつて「海の底から湧いてくる」といわれるほどサバが大量に獲れていた。1974年には小浜市田鳥だけで3580トンのサバの漁獲量があったものの、2015年には1トン未満にまで激減。このためサバの養殖が重要になっていったが、事業採算性をより高めるためには、水温と最適な給餌量の関係を明確化するなどして生産効率を高める必要がある。ただ現状では、いけす管理をはじめとするサバ養殖の作業は漁師の経験と勘に頼っており、飼育方法のマニュアル化なども進んでいない。後継者へのノウハウ伝承も難しい。

 そこで同プロジェクトでは、IoTを活用して漁業をリアルタイムにデータ化することで、データに基づく効率的な養殖の実現を目指す。飼育方法のマニュアル化などを推進する。具体的には、養殖いけすに、水温、酸素濃度、塩分濃度を1時間に1回測定できるIoTセンサー「うみのアメダス」を設置して、船を出さずにモバイル回線経由で現地の状況を把握できるようにする。その上で、給餌場所や給餌量、給餌のタイミングをタブレットに入力して管理する「デジタル操業日誌」を導入し、漁師の経験と勘でなされていた作業をデータ化。蓄積された外環境のデータと漁師のノウハウデータを分析し、関係性を明らかにすることで、効率的な養殖システムの確立などを目指す。

 今回のプロジェクトの統括は小浜市とクラウド漁業が担い、IoT管理をKDDIが、養殖現場作業を小浜市漁業協同組合が担う。福井県立大学は養殖技術開発などを担当する。IoT実装による本格運用開始となる18年2月までは、測定機能やアプリの開発などの準備を進める予定だ。「伝承が難しい養殖の技術を見える化して、効率良く養殖を進めることを目標にしている。成果が出れば、小浜市で盛んなフグ養殖での実装も検討したい」とKDDIの担当者は話す。

この記事のURL https://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/PPP/news/112700528/