• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

ニュース

記事一覧

横浜市と東京大学、中小事業所の「健康リスク」と「労働生産性」の関係を調査

労働生産性損失は1人当たり年76.6万円

星野拓=チカラ【2018.6.19】

健康リスクと労働生産性損失コストの関係。平均で1人当たり年間76.6万円の損失となる(n=157、資料:横浜市)
[画像のクリックで拡大表示]

 神奈川県横浜市は東京大学政策ビジョン研究センターと共同で、横浜市内にある中小規模事業所について「健康経営」の効果を測定し、その第1回調査結果を6月7日に公表した。企業の従業員の生活習慣や健康状態と、その労働生産性を把握し、その関係性を示す具体的なデータを得ることで、健康経営の考え方を民間事業者に広めるのが目的だ。調査の結果、体調不良などに伴う従業員1人当たりの労働生産性の損失額は、年間76.6万円と推定された。

 健康経営とは、従業員などの健康保持・増進の取り組みが将来的に企業の収益性などを高める「投資」になると捉え、従業員などの健康づくりを経営的な視点から戦略的に実践すること。従業員の健康増進が、企業の業績向上につながるとの考え方だ。政府も2016年度から、「健康経営銘柄」として健康経営に取り組む企業を表彰するなど推進に力を入れている。

 横浜市も健康経営に着目。16年11月には健康経営に取り組む市内の事業所を後押しするため「横浜健康経営認証」制度を創設した。ただ、同市が実施したアンケートによると、健康経営という言葉を知っている市内の企業は大企業で27.1%、中小企業で11.7%とどちらも3割に満たなかった。このため認知度を向上させるための材料として、健康経営が企業に与える影響を調査することを決定し、東京大学政策ビジョン研究センターとともに17年9月から調査を開始していた。

 今回結果を公表した第1回調査では、対象となった市内6事業所の従業員(合計157人)について、不定愁訴(体の具合が悪いところ)の有無、喫煙、運動習慣など9項目で評価した「健康リスク」と、「アブセンティーイズム(病気やケガで欠勤した日数)」、「プレゼンティーイズム(何らかの症状を抱えて出勤し、業務効率や生産性が低下している状態)」について調べた。その上で、健康リスク評価項目の中でリスクありと評価された項目数によって従業員を低リスク(0~2項目)、中リスク(3~4項目)、高リスク(5項目以上)の3群に分け、各群における労働生産性損失コスト(アブセンティーイズムの報酬換算額とプレゼンティーイズムの報酬換算額の合計)を推計した。

 その結果、損失金額は低リスク群で59万円、中リスク群で69万円、高リスク群で172万円となった。高リスク群の損失金額は低リスク群の約2.9倍になり、健康リスクの増加に伴って、労働生産性損失が大きくなる傾向が確認された。全体で見ると、体調不良に伴う従業員1人当たりの労働生産性の平均損失は年間で76.6万円、6事業所全体では約1億2021万円と推計された。調査では、まず17年9月に対象従業員に対して健康と仕事に関する事前アンケートを実施。10~11月に各事業所で運動機会の増進やメンタルヘルス対策、禁煙支援などの各種講座を開催し、12月に事後アンケート(評価期間は約2カ月間)を実施するなどして結果をまとめた。

 ただ、健康増進のための各種講座を実施して従業員がウォーキングや体操などの運動を始めても、約2カ月の評価期間では体質の改善は確認できなかった。このため横浜市では今後、6事業所の調査を継続しながらサンプル数を増やし、数値の精度を高めていく方針。市の担当者は「横浜市内の企業へ健康経営の普及・啓発を勧めるために説得力のあるデータを集めたい。市全体に広がり横浜市の文化として定着してくれれば」と話す。

企画・運営
  • 日経BP総研
健康ソリューション

<新設!>医療、福祉、スポーツ、ウォーキング、食育……「健康」と地域活性化を結び付けた取り組みが活発化しています。


お知らせ

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

ページトップへ