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事例研究

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桑名市の官民3病院の再編、段階的に連携を経て統合

新病院への一体化で医師数が増加、診療機能も向上

井上俊明=健康・医療ジャーナリスト【2018.7.17】

この春、三重県桑名市の中心部に「桑名市総合医療センター」がオープンした。まず市立病院と民間2病院が地方独立行政法人の傘下に入って連携し、さらに2018年4月に新病院を建設して、一体化を果たしたのだ。様々な困難に直面しながらも、全国的にも珍しい経営母体の異なる官民の病院再編・統合が実現した。

高度な診療機能を持つ自治体病院として新たなスタートを切った桑名市総合医療センター
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 「当初は赴任後2年でできるはずが、4年半かかっただけに開院式では肩の荷を下ろした気持ちになった」――。地方独立行政法人桑名市総合医療センター理事長の竹田寬氏はこう話す。

 4月に開院したのは、321床のベッドがある入院棟と外来棟。民間の旧医療法人山本総合病院があった場所の周囲の土地を購入し、建設を進めてきたものだ。今秋には、同病院を改修した79床の別棟も開院、400床体制になる。

 新病院のコンセプトは、(1)患者様が主役の病院、(2)高度で専門的な医療を受けられる病院、(3)地域完結に向けた病院、(4)職員が働きやすい病院――の4つ。このうち(2)の目玉の1つが、脳卒中、循環器、消化器の3つのセンターだ。例えば脳卒中のセンターでは、脳神経外科医と脳神経内科医というように、いずれも内科と外科の医師が協力して患者に最適な医療を提供する。さらに各センターに所属する医師には、体への負担が少ないカテーテルを用いた血管内治療の専門医や、心筋梗塞の冠動脈バイパス手術などを手掛ける心臓外科医といった高度な医療技術を持つ医師がそろっている

医師数は80人から120人に増加

桑名市総合医療センター理事長の竹田寬氏
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 病院全体では約120人の常勤医が籍を置いている。三重大学医学部付属病院長であった竹田氏が、病院の統合・建設のために赴任してきた約5年前は3病院合わせて80人ほどだったから、1.5倍に増えたことになる。加えて、「戦力になる卒後3年目以降の医師が残るようになってきた。医師の多くは三重大学の卒業生だが、愛知県出身者も少なくない。そのため以前は、2年間の初期研修を終えて名古屋に帰る若手医師が目立っていた。名古屋市内から十分通えるのに、専門的な研修が受けられる設備の整った大きな病院がなかったためだ。当センターが完成したから、桑名市で働き続けてくれるのだろう」と、竹田氏は見る。

 桑名市総合医療センターは、四日市市より北の三重県北部では初めて、認知症の診断に欠かせない核医学診断装置やがんの放射線治療装置を導入し、MRIもX線CTも最高クラスの機種を入れた。こうした高度医療機器がないことは医師確保のネックの1つだったとともに、患者確保の上でもマイナスだったという。「例えば乳がん治療の主流を占める乳房を温存する術式の手術でも、予防のために行う放射線治療が桑名市ではできなかった。そこで初めから、四日市市や名古屋市の病院にかかる患者が多かった。新病院の完成で、総合病院なら当然の治療が行える体制が整った」と竹田氏は話す。

 また竹田氏は、「建設に先駆けて、独立して診療していた3病院を1つの組織にし、風土や文化の違いから生じるトラブルを減らせたことが、新病院開院のカギだったと思う」と指摘する。

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