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第21回 ドイツ・シュヴェリーン市――再エネ余剰問題に解決策、大型蓄電池の市場参加で利益確保

藤堂 安人=日経BP総研 クリーンテックラボ【2018.7.5】

 ドイツ北部、ハンブルグから東に100kmほどの場所に位置するシュヴェリーン市(Schwerin)。ここを拠点とするWEMAG(べマック)は、シュヴェリーン市を含む地域の複数自治体が約75%の株式を保有する地域電力事業者である。シュヴェリーン市を中心とするメクレンブルク地区に配電網を所有、運営すると共に、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電事業にも力を入れている。

 そんなドイツの一地域の自治体系事業者が、欧州最大規模の商用蓄電池プラントを建設し、エネルギー関係者から一躍脚光を浴びることになった。日本の例を含め、大型蓄電池プラントは政府などからの補助金に頼っていることが多い。そんな中、同社は実際にそこから利益を得て、採算ベースに乗せたのである。

 同社は2014年9月、まず、5MWh/5MWのリチウムイオン蓄電池プラント「Schwerin 1」を稼働させ、TSO(Transmission System Operator:独立送電会社)の50Hertzが運営する周波数調整市場に参入した。

 TSOは、給電指令と送電部門を一体運営する送電系統機関である。電力自由化の結果、ドイツでは全土を4つに分け、それぞれの地域を担当するTSOとして、Tennet、Amprion、Transnet、50Hertzの4社が誕生した。各TSOが近年頭を悩ませているのが、系統網が不安定化すること。風力発電や太陽光発電などの変動性の再生可能エネルギーの導入量が拡大した結果である。

図1 シュヴェリーン市にあるWEMAG本社
レンガ造りの歴史的な建物を近代化している(出所:WEMAG)

風力発電の急増で調整電源不足が深刻化

 特に、メクレンブルク地域では、風力発電の適地であることから設置が相次ぎ、2014年には再エネ発電量が地域の電力消費量を超えた。2017年には140%以上になる見込みだという。

 こうした状況下で50Hertzが危惧しているのが、今後さらに再エネ導入量が増えると現状の調整力である火力発電のマストラン(Must-run)電源(系統網の安定運用のために保持する電源)が限界を迎え、再エネの出力制御を強化せざるを得なくなることである。ドイツでは、卸電力市場の電力価格が低下しているなどの理由で火力発電所の閉鎖が相次いでいることも系統の不安定化に拍車をかけている。出力制御の拡大により再エネ発電事業者の機会損失が深刻化している。

 再エネ増加に伴う系統の不安定化の中で特に問題となっているのが短周期変動だ。ドイツでは短周期変動に対応する調整力を市場から調達する制度がある。代表的なものは、PCR(Primary Control Reserve)、SCR(Secondary Control Reserve)、MR(Minute Reserve)の3種である。PCRは、0〜30秒という短時間に自動で調整力を供給するもので、SCR(自動)、MR(手動)はPCR以降に残る周波数偏差を解消する。

 中でもPCR市場は、30秒以内という高速での電力供給(または消費)を求められることから、大手電力事業者が持つ火力発電所のほかは、蓄電池しか選択肢がなく、高い市場価格が続いている。

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