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人口は減っても元気なまちづくり

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第6回 和歌山県有田川町――民間・若者が中心となり“日本のポートランド”を目指す

佐保 圭=フリーライター【2017.7.4】

環境への取り組みで収益を生み出す

 有田川町の環境への取り組みの特徴は、町の財政に負担をかけず、逆に、環境事業で収益を上げている点だ。

 たとえば、ゴミの回収。20年ほど前の旧吉備町時代からごみの分別を徹底させることにしたが、町議会では「なんでこんなに分けなあかんのや。ほかの自治体では分けてない」という質問も出たという。しかし、補助金を出して、各地区にゴミステーションを設置。ペットボトルなら、キャップとラベルを外し、中を洗ってからという出し方を徹底した。

 合併当初、町は、資源ごみ収集運搬処理業務に年間3200万円を支払っていた。しかし、分別を徹底したことによって資源ごみが評価され、逆に12万円の収益が上がった。「いまでは3年契約で620万円いただいています。資源ごみがすぐに使える質の高いものだったからで、住民の協力があってこそです」と中山町長は胸を張る。

 風力発電に取り組み始めたのは、合併以前の1992年からだった。最初は当時の吉備町が出力230kWの小さな風力発電機をシンボルのように設置していた。これは老朽化による故障で3年前に解体されたが、その後、同地には民間の事業者からの申し込みがあり、2009年12月、「ユーラスエナジー有田川」が風力発電の操業を開始。現在、10機の巨大な風力発電が山の尾根で巨大なプロペラを回している。「借地料をもらっているうえに『稼働率がよくて儲かっているから、まず3年間、毎年100万円を使ってください』と提示されました」(中山町長)。

有田川町の山の尾根で勢いよく回る風力発電(写真:佐保 圭)
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 極め付けは、二川(ふたがわ)ダムの維持放流水を活用した小水力発電だ。

 「ある役場職員が合併前からアイデアを温めていたんです」と中山町長が語るように、職員は自分で研究を重ね、詳細な試算まで行っていた。これをみると1年間で4000万円ほど売電収入が上がる計算になっていた。

 しかし、発電所設置は一筋縄ではいかなかった。二川ダムのすぐ下流の環境改善に必要な「維持放流」を行うため、和歌山県は14億円かけて、毎秒0.7トンの水が維持放流される設備を建設した。この維持放流水を利用したいという有田川町に対して、和歌山県は、工事費用の一部を負担するよう求めたのである。その額は「当初4億円。結局、しかし交渉の末に1000万円で落ち着いた」(中山町長)。

 小水力発電設備総事業費は2億8600万円で、全額町費で賄った。

二川ダムの維持放流水を利用した町営の小水力発電所(写真:佐保 圭)
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 2016年2月、最大出力199kW、有効落差35.4mの小水力発電所を稼働させたところ、嬉しい誤算となった。「実際の売電による売り上げは年間5003万円でした。20年間の契約ですが、初期投資は6年間で大部分償却できます。議会もいまは『大ヒットや!』って喜んでくれています」(中山町長)

 2017年2月、この小水力発電は、新エネルギー財団の平成28年度新エネ大賞において資源エネルギー庁長官賞を受賞した。

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