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人口は減っても元気なまちづくり

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第9回 岡山県奈義町──出生率2.81の“奇跡の町”、「子育て支援策」の一歩先へ

住民同士の交流と行政施策が好循環、「核は常に民」のまちづくり

山田真弓=ライター【2018.3.30】

岡山県東北部に位置する岡山県奈義町は69.54平方km、2017年4月現在の人口は6100人の小さな自治体だ。奈義町は2014年に岡山県算出の合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)が2.81と非常に高くなり、脚光を浴びた。同条件で奈義町独自に行った2016年の出生率は1.85、2017年は2.39と、2014年には及ばないものの、全国平均の1.44(2016年)に対し高水準を保っている。2005年時点では1.41だった奈義町の合計特殊出生率は、なぜここまで高まったのか。そこには子育て支援施策だけではなしえなかった「町民」を核とした活動があった。

奈義町 町役場。「子育てするなら奈義町で!!」とキャッチフレーズを記した懸垂幕が目に入る(写真:山田真弓)
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 奈義町は、東は美作市、西は津山市、南は勝央町に接し、北は国定公園那岐山(標高1255m)、滝山(標高1197m)の連山の分水嶺を境として鳥取県智頭町と接した、風光明媚な田舎町だ。一方で、国道53号で津山市から町に入るとすぐに「自衛隊日本原演習場」「陸上自衛隊日本原駐屯地」が目に入り、平日はこの通りで多くの自衛隊車両とすれ違うことになる。

 町役場は、町の中央よりほんの少し、西南寄りに位置する。役場の周りには奈義町文化センター、奈義町保健相談センター、奈義町現代美術館、奈義町立図書館、奈義保育園、なぎチャイルドホームなど町の主要施設が集まる。また少し歩けば介護予防施設ウォーキングプールや定住促進施設であるセンタービレッジ奈義もある。また、地方の移動手段といえば一般的に車が多いが、日曜には周辺を2、3人の小さな子どもを含む家族が連れだって歩く姿を複数見かけたのも印象的だった。

 そんな奈義町で、一度は1.41にまで下がった合計特殊出生率が2014年には2.81に。さらに現在も高い水準を維持できている。これはいったいなぜなのか。

1994年4月25日に開館した奈義町現代美術館(通称Nagi MOCA)。著名建築家の磯崎新が設計した(写真:山田真弓)
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若い世代を呼び込めるほどの子育て支援策を

 奈義町は「平成の大合併」のさなかの2002年、住民投票により合併しないという選択をした。しかし住民投票から10年が経ったころ、「子どもの声が町から聞こえなくなった」と住民から町の将来を案じる声が寄せられるようになった。「実際、児童生徒の数は減る一方だった」と笠木義孝町長は振り返る。

 子どもの数が減っていった要因の一つとして子育ての費用負担が大きい考え、町では支援を充実させることにした。

 それまでも子育て支援策はあったが、今いる町民だけでは出生率向上には限度があるのは歴然。若い世代の移住者を増やさなければならない。それには誘致策になるくらいの、、独自性の高い思い切った子育て支援が必要だ。

 現在、奈義町には主に次のような支援策がある。

■独自性の高い子育て支援策
在宅育児支援手当
満7カ月児から満4歳(満4歳になった後の最初の3月31日までの)児童で保育園等に入園していない児童養育者に、児童一人につき月額1万円を支給。
高等学校等就学支援
生徒一人当たり年額9万円を在学中の3年間、毎年度支給。
医療費を高校生まで無料化
18歳まで、医療機関等での自己負担分を奈義町が負担。
出産祝い金交付
子の誕生に際して10万~40万円を交付(第1子10万、第2子15万、第3子20万、第4子30万、第5子以上40万)。
ワクチン接種
予防接種法に定められたBCG(結核)、DPT-IPV(4混:百日咳・ジフテリア・破傷風・ポリオ)、DT(2混:ジフテリア・破傷風)、MR(麻しん・風しん)、小児肺炎球菌、ヒブ、子宮頸がん、水痘を無料で接種できる他にも、ロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチン、おたふくかぜワクチンという法定外予防接種も全額助成。
不妊治療助成
奈義町に1年以上住所を有した戸籍上の夫婦で、県指定の医療機関で特定不妊治療を受けた方に、費用の2分の1以内で、年20万円を限度に通年5年間助成。
不育治療助成
法律上の婚姻をして1年以上の夫婦で、奈義町に住所を有しており、(社)日本生殖医学会が認定した生殖医療専門医が所属する医療機関で不育治療を受けた人に、年30万円を限度に通年5年間支給。

 このうち、保険診療にかかわる自己負担分を町が負担(入院、通院)するという「医療費の高校生までの無料化」に宣伝効果を感じつつも、基本的には複数の支援策を子育ての段階に応じて切れ目なく受けることができることが強みだと、町では考えているという。

奈義町の笠木義孝町長。もともとは町役場で教育関係などを担当していた(写真:山田真弓)
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