日経BP社(本社:東京、社長:長田公平)は2012年7月30日、「海外メーカー製の材料・素材の採用」に関して、主に製造業のエンジニア(技術者)を対象に調査し、その結果を発表しました。「ここ5年の間に、材料・素材を日本メーカーから海外メーカーへと切り替えたことがあるか」と聞いたところ、全体の58.2%が「ある」と回答。その理由として「安価だったから」との回答が84.1%に及びました。材料分野は日本のお家芸とされてきましたが、現実には海外材料の採用が急速に進んでいることが明らかになりました。
日経BP社の製造業向け雑誌『日経ものづくり』は、「海外メーカー製の材料・素材の採用」について調べるため、エンジニアを主として対象にした調査を2012年6月22日~7月5日に実施しました。回答者が属する主な業種は自動車等輸送用機器メーカー、産業用機器メーカー、機械部品・電子部品メーカー、総合電機・家電メーカーなどです。その結果、下記の状況や認識が明らかになりました。
- 「ここ5年の間に、材料・素材を日本メーカーから海外メーカーへと切り替えたことがあるか」と聞いたところ、「ある」との回答が58.2%だった。「ない」は29.7%にとどまった(図1)。
- 海外メーカーの材料・素材に切り替えた理由として「安価だったから」との回答は84.1%に及ぶ。2番目に多かった「生産拠点で調達しやすかったから」(31.3%)と回答数には大きな差があった(図2)。
- 切り替えた材料の位置付けを聞いたところ「設計やコスト次第では他に置き換えられる」との回答が53.3%と過半数を占めているものの、「機能の実現に欠かせない」との回答も42.9%あった。つまり、技術者は海外材料の機能に対して一定の評価を与えていることが分かる(図3)。
- 切り替えるまで日本製の材料・素材を採用していた理由として最も多かったのは「実績があるから」(59.9%)。しかし「日本メーカーでしか造れなかったから」は11.0%しか回答がなかった(図4)。
- 「日本のメーカーでないとダメな材料・素材は次のどれだと思いますか」と聞いたところ、「特殊鋼」(31.3%)との回答がやや多かったが、2番目に多かった回答は「特にこだわるものはない」(29.1%)だった(図5)。
図1 ここ5年の間に、材料・素材を日本メーカーから海外メーカーへと切り替えたことがあるか(単一回答)

図2 海外メーカーの材料・素材に切り替えた・切り替わったのはなぜか(複数回答)

図3 切り替えた海外メーカー製の材料・素材はどんな役割を果たしているか(単一回答)

図4 もともと日本メーカーの材料・素材を使っていた理由は何か
(複数回答)

図5 日本のメーカーでないとダメな材料・素材は次のどれだと思うか(複数回答)
