第12回日経小説大賞(日本経済新聞社・日経BP共催)の受賞作が決まり、天津佳之氏(41)の「利生の人 尊氏と正成」が受賞しました。鎌倉末期、倒幕で新たな世をつくるという後醍醐天皇と志をひとつにした足利尊氏と楠木正成を主人公に、南北朝期へと移る混沌とした世の人間模様を描いた作品です。
授賞式は2021年2月17日、東京都千代田区の日経ホールにて行います。授賞式に引き続き、受賞者と選考委員3氏による座談会を開催。授賞式・座談会の模様は日経電子版でライブ配信します。
受賞作は21年2月に日本経済新聞出版から単行本として出版します。
「日経小説大賞」
- 選考委員 辻原登、髙樹のぶ子、伊集院静の3氏
- 賞金 500万円
- 第12回受賞者
天津佳之(あまつ・よしゆき)氏
1979年生まれ。静岡県伊東市出身。大正大学文学部日本語・日本文学科卒業。書店員、編集プロダクションのライターを経て、現在は業界新聞記者。大阪府茨木市在住。 - 受賞作の内容
「利生の人 尊氏と正成」
時は鎌倉末期。討幕の陰謀の発覚により後醍醐天皇は一時隠岐に流されるが、北条得宗の悪政への不満から、治世の主体を幕府から朝廷に取り返すという近臣たちの討幕運動は各地の勢力と結びつき、幕府内にも広がる。幕府の重職にあった足利高氏(尊氏)が、帝方の楠木正成に呼応するように寝返り、ついに鎌倉幕府は滅亡。後醍醐帝が京に戻り、建武の新政がはじまる。帝と正成と高氏は同じ「利生」の志を持った禅宗の同門だった。「民がおのおのの本分を為し、生きる甲斐のある世にする」。しかし、私利私欲がうごめく政治の腐敗は止めようがなく、尊氏と正成の運命は引き裂かれていく。 - 応募状況 20年4月から6月にかけて募集。応募作品数は257点
《参考》
第1回(2006年10月) | 武谷 牧子氏 「テムズのあぶく」 |
第2回(2008年10月) | 萩 耿介氏 「松林図屏風」 |
第3回(2011年10月) | 梶村 啓二氏 「野いばら」 |
第4回(2012年12月) | 長野 慶太氏 「神様と取り引き」(出版時は「神隠し」) |
第5回(2013年12月) | 芦崎 笙氏「スコールの夜」 |
第6回(2014年12月) | 紺野 仲右ヱ門氏「女たちの審判」 |
第7回(2015年12月) | 西山 ガラシャ氏「公方様のお通り抜け」 |
第8回(2016年12月) | 太田 俊明氏「姥捨て山繁盛記」 |
第9回(2017年12月) | 赤神 諒氏「義と愛と」(出版時は「大友二階崩れ」) |
第10回(2018年12月) | 佐伯 琴子氏「狂歌」 |
第11回(2019年12月) | 夏山 かほる氏「新・紫式部日記」 |
第11回(2019年12月) | 湊 ナオ氏「東京普請日和」 |
※年月は発表時点、第11回は2作同時受賞。 |
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