日経BP社(本社:東京、社長:新実 傑)は、7月7日、2016年の「環境ブランド調査」の結果を発表しました。今年で17回目を迎えるこの調査は、日経BP環境経営フォーラムが毎年主要560企業ブランドを対象に、各企業の環境に関する活動が一般の消費者にどう伝わっているかについてアンケート調査し、結果を集計・分析したものです。
今回は2016年3月19日~4月24日にインターネット調査を実施し、全国の消費者2万300人から有効回答を得ました。調査結果の概要をご紹介します。
総合ランキングではトヨタ自動車が7年ぶりに首位に立ちました。環境ブランド指数は昨年の97から5.6ポイント伸ばして102.6。昨年まで5年間首位を守ってきたサントリーの99.3を抜いてトップに立ちました。トヨタは構成する4つの指標「環境情報接触」「環境コミュニケーション」「環境イメージ」「環境評価」のいずれでも1位になり、強さを見せました。
「ミライ」「プリウス」発売などが評価
本調査が始まった2000年から10年間、トヨタは1位を獲得していました。ハイブリッド車「プリウス」の商品イメージなどが受け入れられたためです。しかし、2010年には「エコナビ」を打ち出したパナソニックに、2011年から5年間は「水と生きる」の企業メッセージで強力なブランドを築いたサントリーに1位の座を奪われました。
今年トヨタが首位に返り咲いたのは、量産車として世界初の燃料電池車「ミライ」やハイブリッド車の4代目「プリウス」を発売したことなどが評価を受けたためです。また、昨年10月に打ち出した「トヨタ環境チャレンジ2050」で社会や会社の未来像を示したことが支持を得たと考えられます。
パリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)によって世の中の目が長期的な社会や企業の姿に向くなかで、企業の「環境・社会・ガバナンス」(ESG)への取り組みに投資家からの関心が高まり、ESG投資が活発化しています。今年、日経BP環境経営フォーラムは投資家による企業のESG評価と環境ブランド調査の結果を比較してみました。例えばCDPの気候変動や水の優秀企業(Aリスト)の多くは、環境ブランド調査の50位以内の企業であることも分かりました。ESG投資が盛り上がるなかで、ブランド調査の結果をS(社会)の要素の1つとみる動きも出ています。詳細は「日経エコロジー」2016年8月号(7月8日発行)の特集記事「環境ブランド調査2016」(40~53ページ)に紹介しています。
「環境ブランド調査2016」総合ランキング(上位20位)
順位 | 前年順位 | 企業ブランド名 | 指数 |
---|---|---|---|
1 | (2) | トヨタ自動車 | 102.6 |
2 | (1) | サントリー | 99.3 |
3 | (3) | パナソニック | 88.9 |
4 | (5) | イオン | 88.5 |
5 | (6) | ホンダ | 84.3 |
6 | (4) | 日産自動車 | 81.5 |
7 | (7) | キリン | 78.5 |
8 | (20) | サッポロビール | 74.2 |
9 | (12) | 日本コカ・コーラ | 74.0 |
10 | (23) | 日本たばこ産業(JT) | 73.6 |
11 | (17) | アサヒ飲料 | 73.0 |
12 | (28) | セブン-イレブン・ジャパン | 72.7 |
13 | (17) | ヤマト運輸 | 72.2 |
14 | (16) | マツダ | 71.8 |
15 | (21) | 花王 | 71.3 |
16 | (11) | 東芝 | 70.8 |
17 | (8) | アサヒビール | 70.6 |
18 | (9) | シャープ | 70.3 |
19 | (15) | 日立製作所 | 69.8 |
20 | (22) | カゴメ | 69.7 |
企業ブランドの形成に強く影響する4つの指標を総合した「環境ブランド指数」を主要指標とする。環境ブランド指数を構成する4つの指標とは、回答者が当該企業の環境情報に触れた度合いである「環境情報接触度」、環境報告書や各種メディアなど環境情報の入手先を集計した「環境コミュニケーション指標」、環境面で当てはまると思うイメージについて集計した「環境イメージ指標」、環境活動への評価度合いを集計した「環境評価指標」。偏差値(平均50)で表記し、全企業ブランド中の位置が分かるようにした
プラスイメージの上位企業
●省エネルギーに努力している
順位 | 企業ブランド名 | % |
---|---|---|
1 | トヨタ自動車 | 28.1 |
2 | パナソニック | 22.4 |
3 | 日産自動車 | 22.3 |
4 | ホンダ | 20.1 |
5 | マツダ | 16.4 |
6 | ヤマト運輸 | 15.1 |
7 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) | 13.9 |
8 | ダイハツ工業 | 13.7 |
9 | 三菱電機 | 13.6 |
10 | 東海旅客鉄道(JR東海) | 13.0 |
11 | 東芝 | 12.8 |
12 | ダイキン工業 | 12.5 |
13 | JX日鉱日石エネルギー(ENEOS) | 12.1 |
14 | 東京ガス | 11.8 |
15 | シャープ | 11.7 |
15 | スズキ | 11.7 |
17 | 日立製作所 | 11.6 |
18 | パナホーム | 11.5 |
19 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) | 11.1 |
19 | ブリヂストン | 11.1 |
●リサイクルに力を入れている
順位 | 企業ブランド名 | % |
---|---|---|
1 | ファーストリテイリング | 17.1 |
2 | サントリー | 16.9 |
3 | 日本コカ・コーラ | 16.8 |
4 | イオン | 14.8 |
5 | アサヒ飲料 | 14.2 |
6 | セイコーエプソン(EPSON) | 13.8 |
7 | キヤノン | 12.6 |
8 | キリン | 11.9 |
9 | 伊藤園 | 11.7 |
10 | セブン-イレブン・ジャパン | 11.5 |
11 | アサヒビール | 11.4 |
12 | トヨタ自動車 | 11.3 |
13 | パナソニック | 11.0 |
14 | リコー | 10.7 |
15 | コクヨ | 9.9 |
16 | ブリヂストン | 9.7 |
17 | サッポロビール | 9.6 |
18 | NEC | 9.4 |
19 | 良品計画 | 8.7 |
20 | イトーヨーカ堂 | 8.4 |
●廃棄物削減に力を入れている
順位 | 企業ブランド名 | % |
---|---|---|
1 | セブン-イレブン・ジャパン | 9.5 |
2 | トヨタ自動車 | 9.3 |
3 | サントリー | 8.1 |
4 | イオン | 7.1 |
5 | パナソニック | 6.8 |
6 | キユーピー | 6.3 |
7 | 日本マクドナルド | 6.2 |
8 | アサヒ飲料 | 6.0 |
8 | ローソン | 6.0 |
10 | サッポロビール | 5.9 |
11 | モスフードサービス | 5.7 |
12 | 西友 | 5.6 |
13 | キリン | 5.5 |
14 | アサヒビール | 5.4 |
14 | イトーヨーカ堂 | 5.4 |
14 | 富士ゼロックス | 5.4 |
17 | スターバックス コーヒー ジャパン | 5.3 |
18 | 日本ハム | 5.2 |
19 | 花王 | 5.0 |
19 | 吉野家 | 5.0 |
●生物多様性や動植物資源の保全に努めている
順位 | 企業ブランド名 | % |
---|---|---|
1 | サントリー | 15.4 |
2 | 日本たばこ産業(JT) | 5.7 |
3 | イオン | 5.0 |
4 | 住友林業 | 4.8 |
5 | キリン | 4.7 |
6 | サッポロビール | 4.6 |
7 | トヨタ自動車 | 4.2 |
8 | ニッカウヰスキー | 3.6 |
9 | モスフードサービス | 3.5 |
10 | アサヒ飲料 | 3.2 |
10 | 大塚製薬 | 3.2 |
12 | 味の素ゼネラルフーヅ(AGF) | 3.1 |
12 | カゴメ | 3.1 |
12 | サラヤ | 3.1 |
15 | アサヒビール | 3.0 |
16 | 伊藤園 | 2.9 |
16 | マルハニチロ | 2.9 |
18 | 森永乳業 | 2.8 |
19 | 王子製紙 | 2.7 |
19 | 花王 | 2.7 |
19 | 日本環境協会(エコマーク) | 2.7 |
19 | 日立製作所 | 2.7 |
19 | ポッカサッポロフード&ビバレッジ | 2.7 |
19 | ライオン | 2.7 |
「省エネルギーに努力している」ではエコカー開発でしのぎを削る自動車メーカーが上位に入った。環境配慮車両を導入している鉄道会社も上位に食い込んだ。「リサイクルに力を入れている」では古着の回収・リサイクルに取り組むファーストリテイリングが1位に、「廃棄物削減に力を入れている」はコンビニエンスストアのセブン-イレブン・ジャパンが1位になった。「生物多様性や動植物資源の保全に努めている」では水の涵養のために森林保全を進めるサントリーが首位に立った
■「日経BP環境経営フォーラム」について
日経BP社が、地球環境の保全と企業経営の持続的発展を支援する目的で、2000年に設立。約140社の協賛企業・団体と共同で、環境経営に関する研究や調査、発信などの活動に取り組んでいる。
※日経BP環境経営フォーラムのホームページ
【本リリースに関するお問い合わせ先】
本調査に関するお問い合わせは、日経BP環境経営フォーラム事務局 電話03-6811-8803まで、取材のお申し込みは、コーポレート管理室・広報 電話03-6811-8556までお願いいたします。