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麓幸子の「ダイバーシティ&働き方改革最前線」ビジネス

協力会社も巻き込み、「4週8休」に向けた働き方改革を推進――安藤ハザマ小野会長(2/2ページ)

2017.03.23

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生産性を上げて現場の休日取得促進に注力する

――初年度で高い達成率になりましたね。

小野:来期は限りなく100%に近づけるし、建築でも4週6閉所を努力目標とします。

 もちろん豪雨などの天災もあるし、特殊な現場もあるので完全な達成は望んでいませんが、重要なのは「やろうと思うこと」なのです。休むためには現場も協力会社と「どこをどう変えようか」という話になるはず。絶対に工期は遅れないと私は言っていますので、限られた時間の中で工夫が生まれます。数字的に言うと1日あたり4%効率を上げればいいわけで、これは意志でできる範囲です。

 ほかにも、生産性を上げるためには技術開発も避けて通れない問題です。たとえばいい機械があったら積極的に購入するようにしています。職員の時間外勤務を減らすということでは、給与の改善もセットで考えなくてはいけません。

 簡単に答えは出ませんが、これらを総合的にやって初めて働き方は変わっていくものだろうと思っています。

――休日の取得を熱心に進められるのは、健康経営という観点もあるのでしょうか。

小野:それはあります。私も全職員の勤務状況を見たりするのですが、とても看過できないような時間外勤務のケースもある。仕方がないで済ませるのではなく、原因は何なのか、どうしたら解消できるのかを幹部は考えなくてはいけません。健康上の問題や精神的な悩みが表に出てきてからでは遅いのです。

――人口動態の変化で働き手が足りなくなる中で、量的な面から女性の活躍が必要になるというお話を教えていただきました。多様な人材が活躍することで、質的にはどんな良い変化があると思われますか。

小野:持っているものが男性と女性とでは違いますから、設計面でも施工面でも、うまくなじんでいけばいい効果が生まれると思います。実際、女性が増えてくると現場の雰囲気もいいんです。協力会社とも良好な関係を築いているし、男性に比べてどちらかというと緻密なところがあるのか、工務的な話や調達でも力を発揮しています。

――昨年、都内の安藤ハザマの建築の現場を見学しましたが、女性専用のトイレやシャワー室もあり、入り口付近に朝顔が咲いていて、きれいなのが印象的でした。やはり女性が入ることによって、環境もよくなるなどいろいろなメリットがあると実感しました。

小野:今は土木も含め、どこでもそうですよ。横浜の土木の現場にも女性がいますが、外国籍の方で日本語がペラペラです。

――外国籍の方も積極的に採用しているのでしょうか。

小野:そうですね。ここ5年くらいは毎年のように入っています。

 外国人の力もすごいと私は思っています。我々の持っていないものをたくさん持っている。ただ、それを日本人と同じように扱っていても生きません。

 彼らの場合、日本で生涯給料をもらって暮らそうということではなく、自国との懸け橋になりたいとか、他の外国に行って自分の特性を生かして活躍したいとか、様々な思いがあると思うんです。それによって、日本で施工を覚えさせるのがいいのか、海外を担当してもらって自由にさせた方がいいのかということも変わってくる。そういうことをなるべく早く考える必要があります。女性活躍の問題と同じで、放っておいたら5年、10年後にはみんな辞めて帰ってしまうでしょう。

現場に外国籍の女性技術者も配属されている。

――外国人も含めて、本当に多様な人材が結集しているのですね。

小野:だからこそ、宝の持ち腐れにならないようにいろいろやっていくのが会社の役目です。女性も男性も外国人も、働く中身までまったく同じである必要はない。1人ひとりの意欲に応えて、なおかつ会社が成長できるような道を常に考えなくてはいけません。

 いろんな人がいた方が会社は絶対に面白い。それぞれの特性を生かした場所に当てはめていくことが大切だと思います。

<最後に>

日経ウーマンは毎年、企業の女性活用度調査を実施し、春に「女性が活躍する会社ベスト100」を発表している。そのベスト100の中になかなか登場しない業界が建設業である。女性が活躍しにくい業界でどのように環境整備が行われているかに筆者は関心を持つ。この業界で女性が活躍するのであれば、活躍の場が大きく拡大するからだ。昨夏、安藤ハザマの工事現場を訪ねて、思いのほか多くの女性技術者が活躍していることを知った。女性専用のトイレにシャワールームのほか、きれいに咲いた朝顔など、現場を彩る仕掛けがあった。女性が活躍する現場とはこういうものかという実態を知った。(麓幸子=日経BPヒット総合研究所長)

女性活躍推進法や女性活躍推進のために企業がすべきことをわかりやすく解説。2015年版「日経WOMAN女性が活躍する会社ベスト100」の各業界トップの20社の戦略と詳細な人事施策も紹介している

著者 : 麓幸子、日経ヒット総合研究所編
出版 : 日経BP社
価格 : 1,728円 (税込み)

麓 幸子(ふもと・さちこ)
日経BP社 日経BP総研フェロー
麓 幸子(ふもと・さちこ)

1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。88年日経ウーマンの創刊メンバーとなる。2006年日経ウーマン編集長。12年ビズライフ局長。日経ウーマン、日経ヘルスなど3媒体の発行人となる。14年日経BPヒット総合研究所長・執行役員。15年日経BP総合研究所副所長。17年日経BP総研マーケティング戦略研究所長。18年現職。2014年法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府、林野庁、経団連・21世紀政策研究所研究委員などを歴任。筑波大学非常勤講師。一男一女の母。著書等に『女性活躍の教科書』『なぜ、あの会社は女性管理職が順調に増えているのか』(日経BP社)、『企業力を高める―女性の活躍推進と働き方改革』(共著、経団連出版)、『就活生の親が今、知っておくべきこと』(日本経済新聞出版社)などがある。

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