AGING Web

トップページ > ASIAN AGING SUMMIT 2013開催報告 > 「ASIAN AGING SUMMIT 2013」開催報告 第10回

プロフィール

野村證券代表執行役副社長 沓掛英二 氏
野村證券代表執行役副社長
沓掛英二 氏
1960年生まれ。
1984年明治大学政治経済学部卒業後、野村證券株式会社入社。
厚木支店、福井支店、新宿野村ビル支店の支店長を歴任後、
2004年京都支店支店長。
2007年執行役。
2012年専務執行役員営業部門担当などを経て、
2012年8月より現職。
Good Doctor NET メンタルヘルスとリワーク

新たな国家像に向かって2030年の超高齢社会を設計し創造する

「ASIAN AGING SUMMIT 2013」開催報告 第10回

取材:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也
構成:AGING SUMMIT 取材班 須藤公明
2014/05/07

「貯蓄から投資へ」この流れをいかに創るか

少子高齢化の問題を解決する上で、金融のあり方、ことに国民の資産の有効活用が重要になっている。それによって経済社会を活性化できるからだ。だが現在の金融は課題も多く、業界や行政の壁を超えた行動を取ることは難しい。ただ、来年開始されるNISA(少額投資非課税制度)のような例も出てきた。官民の連携によって、大切な資産を、人々が明るく豊かな暮らしを営むために活用できるようにするのが金融業界の大きな努めである。

全世代の資産形成
資産の有効活用をリードする

現在、日本には約1500兆円の個人資産がある。また企業には約200兆円の滞留資産がある。問題はそれらの大半が預貯金になっており、新産業の育成や新事業の立ち上げなど、企業活力を増進する道に向けられていないことだ。もとより銀行が企業に融資する「間接金融」もある。だが、日本は国際的に見て、個人が株式などに投資する「直接金融」の比率が極めて低い。それにはリスクの取り方などが関係するが、ここに1つの問題がある。

その難問を突破し、「貯蓄から投資へ」の動きを創り加速したい。そのためには、証券業界の姿勢も考え直さなければならない。まず重要なのが、証券会社も営業担当も高い倫理観を持つことだ。売買による手数料稼ぎのビジネスではなく、顧客の資産形成を支援することで、報酬を得るビジネスへ転換すべきだ。社会からの信頼を獲得するためには、ここは避けて通れない。

株式投資はギャンブルではない。株価が上下することは当然で、その利ザヤを狙って行動する投資家もいる。しかし個人の資産形成という観点からすれば、企業が成長することによる成果の分配にあずかることが第一だ。企業の成長に必要な要素は人・物・金・情報と言われる。その1つの資金を提供したことによる分け前を享受し、中長期的な資産形成に結び付けるのである。

義務教育で金融を理解させ世代に応じた資産形成を

高齢化の進行につれ、新たな問題も生まれる。個人差はあるものの、一般的には80歳を過ぎると判断力が衰える人が増える。そうした人々からの投資を受け入れる場合は、家族に立ち会ってもらうなど、間違いが発生しない策を講じることが大切だ。フィナンシャルアドバイザーを活用し、相続まで視野に入れての決定を行えるようになればベストだ。

一方、若い人や働き盛りの世代にとっても、将来のための資産形成は重要な問題である。そこにはさまざまな選択肢があるが、やはり確定拠出年金401kの活用が一番いいだろう。ライフプランをもとに自分の判断で投資信託などを選択する仕組みである。一定の金額を長期間投資していく累積投資は短期的な値動きにとらわれず、着実な資産形成に結び付くことが各種のデータから証明されているからだ。

最後に、金融教育の大切さを強調しておきたい。社会におけるお金の働き、直接金融と間接金融の意味と相違ぐらいは義務教育できちんと理解させておきたい。これは、公的年金の不足を補完するため資産づくりの上でも極めて重要だ。

他人任せではなく、自己責任による投資を通じて経済を大きな視点から把握できるメリットもある。中長期的には、その知識と経験の積み重ねが、日本経済の姿を変えることは間違いない。

(取材:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也 
構成:AGING SUMMIT 取材班 須藤公明)

Copyright(c) Nikkei Business Publications,inc. All Rights Reserved.