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プロフィール

経済同友会代表幹事 武田薬品工業代表取締役社長 長谷川閑史 氏
経済同友会代表幹事
武田薬品工業代表取締役社長 長谷川閑史 氏
1946年生まれ。
1970年早稲田大学政治経済学部卒業後、武田薬品工業入社。
1993年TAPファーマシューティカルズ代表取締役社長。
1995年TAPホールディングス代表取締役社長。
1998年武田薬品工業医薬国際本部長(コーポレート・オフィサー)。
1999年同社取締役就任。
2001年経営企画部長。
2002年事業戦略部長。 2003 年より現職
公職:2011年~経済同友会代表幹事
著書:「第16回企業白書~「新日本流経営の創造」~」
Good Doctor NET メンタルヘルスとリワーク

シンポジウムII 2030年 この国の“あり方”
超高齢社会における経済成長と地域の役割

構成:AGING SUMMIT 取材班 但本結子
文責:日経BP社日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也
2012/04/02

基調講演
2030年ビジョン II 超高齢社会における産業振興

官民共働での経済成長を目指せ

成長なくして将来なし

日本経済の成長はすでにピークアウトし、高度経済成長期と同じ成長を求めるのは困難という意見を耳にする。しかし、グローバル競争に勝ち抜かなければ生き残れない時代を迎えた以上、次世代の若者たちのためにも、新興国市場を取り込んだ新たな経済成長に向う以外に道はない。少子・高齢化がもたらす様々な問題、例えば、生産年齢人口の減少、年金、老老介護などの問題を含め、山積する問題を克服する知恵と勇気を伴う行動が不可欠である。

人口減少に対しては考え得るあらゆる対策を直ちに実施しなければならない。例えば、高度技術者や知的労働者を海外から受け入れるための政策の実現や、同時に女性や元気な高齢者がもっと活躍できる場が必要である。

日本の債務残高は対GDP比で200%を超える非常事態であり、プライマリーバランスの黒字化には最低10年を要するだろう。

これまで日本は、絶え間ないイノベーションを繰り返し、産業を育成・成熟させてきた。昨年、GDPで中国に抜かれて世界第3位にはなったものの、日本が経済大国であることに変りはない。日本が財政規律に向うためにも経済成長しか道はないのである。

本質的な問題にメスを入れ、戦略性のある政策を

経済成長を阻害するいくつかの要因がある。円高、法人税、温暖化ガス規制、電力不足と産業界を取り巻く環境は非常に厳しい状況だが、政策が実行されず前進できないのは政治指導力の問題である。政治が20年後の日本のグランドデザインを明確に描くことが必須である。成長戦略も社会保障のあり方も、国のビジョンがなければ、政府と財界とが協力し合う政策は描けない。

法人税ひとつとっても、日本がどれだけ不利な状況にあるか、政府はすでに認識している。中国が25%、シンガポールが17%に法人税を抑え、誘致合戦を繰り広げる中、日本だけが40%で高止まりしている。産業界は海外企業と比べて大きなハンディを負いながらも、モチベーションを高め、M&Aを仕掛け、自らの生き残りを賭け、日本のために歯を食いしばって頑張っている。

このまま無為無策が続くならば、経営者は、株主や従業員に対する責任として、海外にシフトせざるを得ない時期が遠からず訪れるだろう。

税制の見直しは喫緊の課題である。間接税の比率引き上げは世界的な潮流である。消費税率の引き上げを視野に、税と社会保障の一体改革を急ぐべきだ。但し、増税という痛みを国民に強いるのであれば、その前にするべきことがある。

国会議員の定数削減と公費の大幅カット、公務員の人員削減。まず「隗より始めよ」である。政治家と官僚が率先して痛みを引き受ける姿を示してこそ、日本国民は納得して改革に向うはずだ。

「不都合な真実」を前に、するべきことは全てわかっている。今、求められていることは、「実行」の二文字である。

(構成:AGING SUMMIT 取材班 竹林篤実 
文責:日経BP社日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也)

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