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プロフィール

国立長寿医療研究センター理事長・総長 大島伸一 氏
国立長寿医療研究センター理事長・総長
大島伸一 氏
1945年生まれ。
1970年名古屋大学医学部卒業後、社会保険中京病院臨床研修医。
1971年社会保険中京病院医員(泌尿器科)。
1981年同院泌尿器科部長。
1986年同院泌尿器科主任部長。
1992年同院副院長。
1997年名古屋大学医学部泌尿器科学講座教授。
2000年同附属病院副病院長。
2002年同院病院長。
2004年国立長寿医療センター総長。
2009年国立大学法人名古屋大学名誉教授。
2010年より現職
所属学会:日本泌尿器科学会名誉会員。
日本臨床腎移植学会。
日本泌尿器内視鏡学会評議員。
日本移植学会名誉会員。
日本老年医学会理事。
日本内視鏡外科学会名誉会員ほか
公職:社会保障審議会介護給付費分科会(臨時委員)。
医道審議会医道分科会臨時委員。
日本学術会議会員。
社団法人日本臓器移植ネットワーク理事。
財団法人日本腎臓財団理事。
一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会顧問。
社会福祉法人愛知県社会福祉協議会理事。
公益財団法人長寿科学振興財団理事。
公益財団法人科学技術交流財団理事。
あいち健康長寿産業クラスター推進協議会会長。
財団法人愛知腎臓財団副会長ほか
Good Doctor NET メンタルヘルスとリワーク

シンポジウムI 超高齢社会 アカデミアからの予測と課題

構成:AGING SUMMIT 取材班 但本結子
文責:日経BP社日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也
2012/04/02

超高齢社会の国民的コンセンサス
長生きを喜べる社会とは

長生きが喜びとなる、より満足度の高い社会へ

現実を直視して社会の仕組みを構築

2030年に我が国に起こる事態とは、世界のどの国も経験したことがない「超高齢社会」である。現在、巨大な人口集団が高齢層に向かい、日本の人口増の軸が高齢化に向かっているのはまぎれもない事実だ。ところがこうした高齢化問題を語るとき、“老いをいかにして生きるか”といった議論や興味に終始しがちだが、高齢者は遥か昔から存在しており、人生も終末近くになれば老いや病気、死とは無縁ではいられず、これらは人類の普遍的、根源的なテーマであったはずだ。しかし、問題を個々の事柄に矮小化してしまうと、とんでもない間違いを引き起こしてしまう。

急速な高齢化に直面して考えなければならないことの1つは、「ピラミッド型」の人口構造を想定して創られた従来の社会システムを、人口の減少と相まった「逆ピミラミッド型社会」に合わせた形へと転換させることだ。

さらに、どれほど元気な高齢者であっても、最後は虚弱になる。そのときに気兼ねなく援助が受けられる社会であることが1つ。そして、最も重要なことは、この問題が高齢者だけではなく、広く全世代の問題であることを認識すべきだ。この3つが満たされていることを前提に社会全体の仕組みを構築すべきである。

人口構造の変化
人口構造の変化(クリックすると拡大します)

虚弱な高齢者と
共に生きる社会へ

虚弱な高齢者を支えるためにはお金や手間が不可欠だが、産業や経済の中心を担う今の若い世代は自分たちが生きるだけで精一杯で、誰かをサポートできるだけのゆとりがない。社会にゆとりがなくなれば、真っ先に切り捨てられるのは虚弱な高齢者であろう。しかし、弱ってしまったらおしまいというのは後進国の発想である。

高齢で虚弱になったとき、幸せのあり方とは何か。それは、残りの人生を病院のベッドにつながれて過ごすのではなく、住み慣れた生活の場にいられることであり、虚弱な高齢者であっても“共に生きる”ことを受け止められる社会である。そして医療においては、「生活の場の医療」提供がカギとなる。高齢者にとっての人間的な営みとは、時に完治しない病気や障害と共存しながらも“生活の質”を落とさないことに尽きる。

高齢者に絶望感を与えない社会、死ぬ前に生まれてきて良かったと思える社会。それを実現することができれば、長生きしたことを喜び、満足して一生を終える高齢社会に成り得る。

(構成:AGING SUMMIT 取材班 但本結子 
文責:日経BP社日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也)

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