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特集 お盆休み 昔の興奮を新作本で味わう(2)
名探偵,ハードボイルド,アドベンチャー 心躍る,夏の翻訳ミステリ
2005/08/09

21世紀の謎解き,どんでん返し

 今からちょうど30年前の1975年に邦訳されてブームとなったのが,『カーテン――ポアロ最後の事件』(アガサ・クリスティ著,早川書房刊)だった。あの名探偵エルキュール・ポアロ最後の事件ということもあるが,クリスティが生前かなり早い時期に書いておいて,遺言に従って死後に刊行されたということでも,話題をまいた。

 映画も『オリエント急行殺人事件』が1974年,『ナイル殺人事件』が1978年に公開され,世界的なヒットとなったし,クリスティの自伝やクリスティ読本といったノンフィクションが相次いで邦訳されたのも,このころだ。

 今や,かつてのような「名探偵もの」は(海外では)あまり見なくなってしまったが,『カーテン』を好きだった人なら,それらしい本格的ミステリはいかがだろう。謎解きの面白さやどんでん返しの魅力は,もちろん現代ミステリでも失われてはいない。

 『荊の城』(サラ・ウォーターズ著,創元推理文庫)は,クリスティと同じイギリス女流作家による人気作だ。十九世紀ロンドンを舞台にした歴史ミステリだが,ディケンズを彷彿させる通俗小説のテイストをもちながら,どんでん返しを次々に繰り出し,分厚さを感じさせない。

 『蛇の形』(ミネット・ウォルターズ著,創元推理文庫)の作者も,イギリスの女流。だが,こちらは20年前の隣人の死を一介の主婦が捜査していくという作品だ。彼女が執拗に捜査を続ける動機が大きな謎となり,それが解き明かされていく。

 一方,『第四の扉』(ポール・アルテ著,ハヤカワ・ミステリ)は,「フランスのディクスン・カー」の異名をとる作家のデビュー作。密室殺人の謎解きのあとに,さらなる仕掛けが待っているという,本格派ミステリだ。幽霊屋敷や降霊術といった怪奇趣味は,夏休み向けかも。

 トリックとどんでん返しといえば,『魔術師(イリュージョニスト)』(ジェフリー・ディーヴァー著,文藝春秋)も負けてはいない。大胆不敵な奇術のトリックを駆使する犯人を捜査陣が追う現代もので,鑑識捜査の面白さも堪能できる。

 ベストセラーである検屍官シリーズの『黒蠅』(パトリシア・コーンウェル著,講談社文庫)もどうだろう。主人公ケイが検屍局をやめても,シリーズの人気は根強く続いている。

サラ・ウォーターズ『荊の城』 ミネット・ウォルターズ『蛇の形』 ポール・アルテ『第四の扉』 ジェフリー・ディーヴァー『魔術師(イリュージョニスト)』 パトリシア・コーンウェル『黒蠅』



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