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噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
第59回 和服と呼ばずに着物と呼んで
2009/07/10

噺家にとって着物は作業着
噺家・柳家三之助
噺家・柳家三之助

 南の方から夏が迫ってきていますな。私の住んでいる関東地方は梅雨明けまでもう一息。もしも日本に梅雨がなかったら6月の頭からもう夏が覆い被さり、それが10月近くまで続くことになります。そう考えると夏という季節の前座のようなこの梅雨は、私たちの身体に夏への備えの猶予とでもいいましょうか、自然というものはとても偉大なものです。

 お客様からのご質問で多いものの一つに、着物についてのことがございます。確かにわたしたちは着物とは縁が深い商売です。一年中着物で過ごすという噺家は少なくはなりましたが、それでも着ている時間はかなり長いと思います。今日はそんな着物に関するお話をしてみましょうか。

 「着物は作業着だから」とわれわれ仲間内ではよく言います。してみるとずいぶん値の張る作業着があると思いますが、とにかく私たちは仕事で着物を着るので、そういうことになりますな。

 肉体労働がほとんどという前座さんは楽屋でも着物で働いています。われわれの着物の置かれている環境はなかなか過酷で、高座でたくさんのライトを浴びて大きな声で話すので、汗と光線で着物が痛みやすいのが悩みの種です。

 それでも、こんなことをあまり自慢はできないのかもしれませんが、たとえば私の黒紋付。私が二ツ目になったときにこしらえたものを今でも後生大事に着ています。汗になったといえば手を入れ、普段手のひらをおいている膝の部分が汗と光線で色が抜けそうになっても手を入れ、大切にしております。これは値段が高いからだけじゃない思い入れが、一枚の着物にあるからだと思っています。

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