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噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
第58回 あなたは見られに来ているんです。
2009/06/26

噺家はきれいごとでなくてはダメ
噺家・柳家三之助
噺家・柳家三之助

 早く梅雨が明けないかなあと、そんなことばかり思うのが梅雨です。でも明けてしまえばこっちのもの。「今年の梅雨はもう終わりかぁ・・・」としょんぼりしている人はいませんよね。もうしばらくの辛抱ですから、夏への鋭気を今のうちに養っておきたいものです。

 さて、表題をご覧になって「?」とお思いになったあなた。毎回なにをどうやって皆さんにお話ししようか苦闘する私の苦労および楽しみを察していただいてお付き合いください。今回は、あなたのお話です。

 お客様から「人から見られる商売というのは大変ですね」とお声をかけていただくことがございます。確かにそうですね。あまり色気を売る商売ではないですけど、人様の前に出て行くわけですから。たとえば昼サラと言われる昼の部の最初の出番があるとその何時間か前には起き出して身支度を調えます。私は出かける前に必ず湯に入りますので、その時間も逆算してごくごく早朝から支度にかからなくてはなりません。ま、早朝と言ってももう日も高くて、皆さんはとっくに一仕事終わっている時間ですけど・・・われわれにとっては早朝なんですね。

 前座の時から先輩に「噺家はきれいごとでなくてはダメだよ」と教わりました。この場合の「きれいごと」というのは虚飾で取り繕うという意味ではありません。豪奢なナリをするよりも、こざっぱりとしていなくてはいけないという教えです。

 ですから、羽織や着物は普段からとても大切にしていますし、出かけるときにはきれいな肌着を風呂敷に包むというのも日課のようになっています。そんなことをしているうちに時間がなくなって、顔も洗わずに寄席へ駆け込む・・・なんてのは冗談ですが、やっぱりこの「きれいごと」にするのは大切ですね。

 でも、私たちから見れば、お客様だって大変ですよ。

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