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噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
第57回 衛生に注意を喚起する落語
2009/06/12

ドラマで有名になった「ちりとてちん」
噺家・柳家三之助
噺家・柳家三之助

 「五月雨を集めて早し最上川」は芭蕉の句ですが、我が国は気候や季節に関する言葉が多いですね。言葉というのは存在するだけでは何の価値も生みません。使って初めて豊かさを感じることができるのですから、日常の言葉を一つずつ芳醇にしながら道具としてどんどん自分のものにしていってください。

 さて、梅雨時となりました。梅雨は「ばいう」とも読みますがこれは「黴雨」とも書くんだそうです。皆さんの想像通り、じめじめとしてカビの生えやすい時期の雨ということで、食べ物には注意が必要ですね。そんな食べ物への注意を喚起する落語があるんですよ、もうお分かりですか?

 「ちりとてちん」と聞いて、これを落語の題名だとすぐに分かる人が増えました。5年前だったらどうだったかなと考えるとテレビの影響力というのはただただ恐ろしいばかりです。これはもちろんNHKの連続ドラマ「ちりとてちん」です。この番組のおかげか近頃は女性の噺家志望者が増えたような気がします。そんなわけで昨年の落語オブ・ザ・イヤーと行って差し支えないこの噺を今回はご紹介いたしましょう。

 以前ご紹介した「幾代餅」と「紺屋高尾」のような同工異曲の関係が生まれていて、江戸で「酢豆腐」として生まれた噺が上方に導入され「ちりとてちん」となり、そのまままた江戸に逆輸入をされて今日に至るという珍しい経緯を持った噺です。東京ではどちらも演じられています。

 その細かな演出の違いは、実際に聞いて頂いたときに感じて頂く方がよいでしょう。サゲ一つ取ってみても上方落語の大胆なわかりやすさ、江戸落語のひとひねりの妙というものがお分かりになりますよ。

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