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噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
第36回 「明烏」で吉原を遊ぶ
2008/08/01

 8月になりました。ほぼ全国的に「暑いね~」と叫ぶのを禁止したいくらいの暑さだと思いますが、この暑さをもろともせず、かといってケミカルな涼しさも求めずに淡々と家の中に籠りましての廓のお話を続けましょう。

 さて今回も「明烏」の続きです。どんちゃん騒ぎも佳境に入りまして、そろそろ手だれの源兵衛・太助も若旦那・時次郎を騙しきれなくなってまいります。

大勢でよってたかって花魁の部屋へ
噺家・柳家三之助
噺家・柳家三之助

 いよいよ大きな箱提灯でもってお茶屋から大見世に送られる、幅の広いはしご段をのぼり廊下を歩けばすれ違う女は櫛・笄(こうがい)を後光のように挿しました文金・赤熊(しゃごま)・立兵庫なんていう髪型に前結びの帯、上草履とよばれる厚い草履でパタンパタンってな具合ですから、どんなおぼっちゃまでもここが女郎屋だと気がつきます。

 さあ大騒ぎ。時次郎は孔子の言葉を引用してまでの抵抗をいたしますが、大勢でよってたかってとにかく花魁の部屋におさめてしまいます。

 廓噺に限らず、噺のいいところは「省略の大胆さ」。廓の目的はある意味ひとつに集約されるものなのですが、このシーンを克明に描いた落語というものはまずございません。落語がお座敷芸として特定少数のために演じられる場合には多少そのような部分を誇張して描いたりはしたようですが、後世に残るものとはなりませんでした。

 「じれったい」とか「この先が聞きたい」とか言ってはいけません。「粋」というものの大部分は「我慢・辛抱」で出来ております・・・。

 落語の場合、この省略を「烏カァで夜が開けまして」と一言で片付けてしまいますな。この烏カァまでの間にどういうことがあったのかは、若輩者のわたくしよりも皆さんの方が詳しいのでございます。

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