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噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
第35回 「明烏」で吉原へご案内
2008/07/18

 寄席の楽屋である師匠から「あのことなんだけど・・・」と話しかけられて、はじめは何のことだけ分かりませんでしたが伺っているうちにどうやら、この「落語の世界へようこそ」の読者であることが判明いたしました。

 前々回に怪談噺についてお話しいたしまして、三遊亭圓朝師匠の作品の中に「四谷怪談」を挙げましたがこれは諸説ありまして証明されていない事柄なのだそうです。速記本が残っておりませんし、不確定な要素が多いため、この場を借りまして注釈申し上げます。

 ご指摘いただきましたK師匠!ありがとうございます。いやはや厚顔の至りではございますが、これからもいろいろな方に支えられながら、書き散らかしていく所存であります。

主人公の時次郎は親が心配するほどの堅物
噺家・柳家三之助
噺家・柳家三之助

 前回、少しだけ廓のお話をいたしました。今回は「明烏」という噺を題材にこの廓のお話を進めてまいりましょう。「あけがらす」ですよ。「鳥」ではなくて一本横棒の少ない「烏」です。パソコンでは見えにくいかもしれないですが、ちょっと目を凝らしてくださいまし。八代目桂文楽師匠のが有名ですが、その後の噺家も数多く手がけておりますので、寄席で聴く機会も多い噺です。

 「遊びにいく」イコール「吉原」と言っていいほど、男性の娯楽の必須科目でありましたお女郎買い。ところがどの時代でも「そうではない人」というのが少からずいるものです。男性といっても女性が好きで好きでたまらない人から、まあ普通だよという人から、別にそれほどでもとか、そばにいるだけでもう駄目という人まで、様々なのが人間社会。そして「食わず嫌い」というのがこの噺のキーワードでございます。

 日本橋田所町三丁目・日向屋半兵衛という商家の倅、時次郎は親が心配するほどの堅物です。堅物で心配する親というのも珍しくはありますが、ゆくゆくは商売を継がせようってんですから多少は人間がくだけてくれなくては困りますし、お客様のお伴で吉原に・・・ということもあるでしょうから、お父っあんはなんとかしたいと思っているそんな折、「町内の札付き」という栄えある男達、源兵衛・太助がこの堅物を騙してなんとか吉原に連れて行っちゃおうと企てます。

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