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噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
第28回 ウソ・うそ・嘘
2008/04/04

噺で「うそ」といえば「弥次郎」
噺家・柳家三之助
噺家・柳家三之助

 四月になりました。年度代わりというものと全く縁のない噺家という商売ではございますが、それでも身の回りでは新入生やフレッシュマンの姿が見かけられます。就職に失敗した若人が噺家の門を叩いて、追い返されたりするのもこの時期ですな。

 四月馬鹿、エイプリールフールという言葉がふと頭に浮かびました。一説によると日本で四月馬鹿を広めたのは「かんしゃく」「堪忍袋」「宗論」の作者でおなじみの益田太郎冠者らしいです。

 この方は本名を益田太郎と言いまして、三井物産創始者の倅です。父と同じ実業の道に進みながら一方では帝国劇場創設時に文芸担当重役として我が国に「女優」という職業を作り、「喜劇」の礎を築いたくせに、貴族院議員で男爵という、いわゆる奇才です。「喜劇の殿様」という本に詳しいので、よかったら読んでみてください。

 四月ということで、今回は「うそ」をキーワードに縦横無尽に脱線してまいります。

 噺の方で「うそ」といえば「弥次郎」でございます。上方では「鉄砲勇助」といわれ、連続テレビ小説「ちりとてちん」でも登場いたしましたこの噺、とにかく全編にわたって嘘のオンパレード。

 嘘、というよりも法螺、といったほうが的確かな。誰が聞いても嘘だと分かるようなデタラメで噺を引っ張っていくのですから、得意にしていた噺家もみな名人ばかり。噺のテクニックというよりもその人の魅力で引っ張っていくという方が正しいのかもしれません。お早うが凍るという北海道の話、岩をちぎっては投げる大立ち回りの話など、ハリウッドをもってしても映画化は無理でありましょう。

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