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噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
第12回 大山詣り
2007/08/10

 暑い日が続きます。

 毎年夏になると「どうして昔の人は冷房なしで夏を乗り切れたのだろう」と不思議でなりません。もちろん地球はどんどん温暖化しているので、昔の夏の方が少しは涼しかったのかもしれませんが、それにしてもね。夏は暑いんだからしょうがない、とあきらめるというところがコツなのかなあ。自然に逆らうと、余計暑いですからね。

精進落としが楽しい大山詣り
噺家・柳家三之助
噺家・柳家三之助

 「大山詣り」という噺についてお話しいたしましょう。

 大山(おおやま)というのは、現在の伊勢原市にございます。山と言えば、我が国の名峰富士山がまず思い浮かびますが、江戸っ子が「お山」と言ったときにはこの大山を指します。盆山といいまして7月14日から17日までの間だけ、山頂の社に参拝することを許されたんだそうで、いまでも月遅れの盆山があり、このときには参拝者が多数訪れます。

 「講」という、集まりは同じ信仰をもつ人たちの結社とでも言いましょうか、拡大解釈すれば「サークル」とでも言いましょうか。昔の方がそういうものが盛んであったようです。本当に信心からお参りをした方もいたんでしょうが、おおよそは楽しみを求めての団体旅行ってなもんですな。精進落としがメインという・・・。

 酔っぱらうと手のつけられない乱暴者の熊五郎、去年の大山講でも間違いを起こして、しまいには「熊が行くなら俺は行かねえ」というものまで出る始末、その間に挟まって先達っあんは今年のお詣りをあきらめるよう、熊五郎に勧めます。そんなことを聞き入れるはずもない熊さんは「今度間違いを起こしたら自慢の髷を落とす」と条件付きでの参加を認められることになりました。

 江戸は赤坂、道玄坂から二子の渡し、厚木、伊勢原と通りまして大山へ。「矢倉沢往還」「大山街道」と呼ばれたおきまりのコース、早い話が国道246号ルート。無事にお山は済みまして、帰りのルートは少し足を伸ばして東海道を経由しての遊山旅、この遊び三昧があるから熊五郎も強硬に参加をしたわけで、となると帰りに間違いが起こらないわけはありません。第一、起こらなければ落語になりません!

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