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噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
第6回 一人前の噺家に
2007/05/18

 前座修行の話が続きましたが、今回はその先にどういう道程が待っているかをお話ししましょう。

前座から二ツ目でガラッと変わる生活

 噺家の階級は前座、二ツ目、真打と三つに分かれています。わたくし三之助は今、二ツ目という位です。相撲ですともっとたくさんの階級がありますし、また勝敗によってその階級が上がったり下がったりしますが、噺家の場合には格下げということはありません。

噺家・柳家三之助
噺家・柳家三之助

 3年から5年の前座修行が終わりますと、二ツ目昇進です。前座と二ツ目では見た目に大きな違いがありますから、一目で見分けが付くんですよ。前座のうちは着流しという長着のみの格好なんですが、二ツ目になりますと、紋付き・羽織袴の着用が許されます。財布の紐が許す限り、二ツ目以降は自分の好きな着物を着ていいというわけです。

 前座は着物を着ていろいろと立ち働きます。ですから汚れてもいい、また汚れても洗えるような生地の着物が多いのです。晴れて二ツ目からは本絹の着物を着ます。初めて黒紋付に袖を通したときの晴れ晴れしい気持ちは今でも忘れることができません。

 二ツ目になって初めての日、自分の立場の変化に驚きます。着ているものもさることながら、昨日までお茶を入れたり着物を畳んでいたりしていたのに今日は座ったとたんにお茶がすっと出てくる、高座が終わって着物を脱げば前座さんが全て畳んでくれるという案配に、一夜で殿様になったような気分です。

 この潔い身分制度が我々の世界を支えているんですな。

 生活もがらっと変わります。今までは師匠の元で修行をしていたのが、まるで鳥が巣を飛び立つように外の世界へと活動の場を広げます。反対に、生きるための糧を自分で探していかなくてはならないという厳しい一面も。前座の頃は比較的規則的な生活をし、何かにつけて小言を言ってもらえますが二ツ目を境に誰も、なーんにも言わなくなります。ある意味恐ろしいことですね。

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