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噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
第4回 噺の出来ない噺家
2007/04/13

入門許可の条件は稽古をしないこと

 皆さんこんにちは,柳家三之助です。すっかり春になりました。都内の寄席では真打披露興行の真っ最中です。社団法人落語協会ではこの春に5人の真打が誕生しまして連日の賑わい。寄席にお越しになるきっかけとしてこの披露興行を利用しない手はありません。落語協会のホームページをごらんになり,是非お出かけいただきたいと思います。わたくしも高座を勤めておりますよ。

 さて,前回は「入門の入門編」と題しましてわたしの前座時代のお話。ところが紙面尽きまして次回のお楽しみ,と相成りました。

噺家・柳家三之助
噺家・柳家三之助

 噺家の入門の話をしていながら肝心の落語の話が全く出てこないので,お読みになりながら不安に思った方がいらっしゃると思います。今日はたぶん,落語の話も出てくるはずですよ,たぶん・・・。

 わたしが入門の時に師匠(十代目柳家小三治)から提示された条件というものがあります。「俺はおまえに噺の稽古をしないけれど,それでもよければうちにきなさい」というものでした。

 これは噺家の入門条件としては極めて異様なものです。破天荒です。未曾有です。自分の落語の先生として師匠に入門するのですから,その先生がはじめから教えることをしないと宣言したんです。

 困っちゃうよねえ。でもまあ,どうしても師匠のそばにいたかったから,入門しちゃったわけですけど。

 「見習い」の期間が終わったのは突然でした。ある日,いきなり師匠から「お前は今日から小ざるだ」と宣告されました。つまりですね,芸名をつけられたんですよ。柳家小ざる。嬉しかったけれど,未だにどうして「小ざる」だったのかは不明です。

筆者プロフィール

柳家三之助(やなぎや さんのすけ)
1995年に十代目柳家小三治に入門。「小ざる」の名で前座修行ののち、1999年に二ツ目昇進。柳家三之助と改名する。都内の寄席や全国の落語会で精力的に高座を勤める傍ら、インターネット上の様々なコンテンツで落語の普及に努める。興味のあることは片っ端から手を出し、雑誌などのコラムの執筆のほか、2006年に翼のプロとの対談集「オールフライトニッポン(風濤社刊)」のほか、Yahoo!インターネット検定・落語「通」検定の問題作成、公式テキスト「粋に楽しむ落語(インプレスジャパン刊)」を執筆した。最近はウイスキーをこよなく愛する日々である。
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