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たまには夫婦で劇場へ
戦争が生んだ、究極の愛のドラマ『ミス・サイゴン』
2008/07/11

 このコラムではこれまで夫婦で観たいと思える映画を女性の立場から選んできた。ここでコラム名を少し変えて、“たま”には夫婦で劇場へ行ってみてはどうかというお誘いである。この数年、観劇人口は着実に増えているが、その大多数は女性。連れだってくる年配の人々も女性同士ばかり。欧米のような夫婦同伴の観客は、まだごく少数のような気がする。

 映画と違って、チケットが高いお芝居は妻の側からも気軽には誘いにくい。まして、一般には「夫を観劇に誘っても、行きたがらない」「連れていったのに、ほとんど寝ていた」といった不満の声もある。もちろん、出演者やテーマを選べば違うのかもしれない。団塊世代が若い頃に好んだ芝居は商業演劇からはほど遠いのだ。

 だが、せっかくなのに夫婦でまったく劇場に行かないのはもったいない気がする。そこで男性でも興味の持てそうなテーマ性がある作品を紹介してもらおう。

キャデラックに乗っているのはエンジニア(筧利夫)
(写真提供/東宝演劇部)

ベトナム戦争が残したものを描く

 『ミス・サイゴン』は大ヒットミュージカル『レ・ミゼラブル』を生んだプロデューサー、脚本家(作詞)、作曲家チームによる第2弾。お話を一言でいえば「ベトナム戦争版 蝶々夫人」でしょうか。

 戦争で家も家族も失った17歳のキムは、サイゴンに出て、エンジニアが経営するキャバレー(実際は売春宿)で働くことになりました。最初の客、クリスと激しい恋に落ちたキムは、彼と一緒にアメリカに行く約束をします。ところがサイゴン陥落の混乱で、クリスはやむなく彼女を残して帰国。その後、男の子が生まれたキムは、その子を支えとして、クリスが迎えにくる日を待ち続けます。

 そうとは知らず、夜ごと、ベトナムの悪夢にうなされるクリスは、新しい人生を始めようと、エレンと結婚します。やがて、キムがバンコクで生きており、子供もいると知ったクリスは、悩んだ末、妻を連れて会いに行くことにしました。クリスの親友、ジョンが、キムが働くキャバレーを訪れ、クリスが来ていることを告げます。キムは喜んで、クリスのホテルを訪ねるのですが…。

 キムのような戦災孤児の行く末、クリスを悩ます戦争後遺症、GIたちがベトナムに残してきた子供たち(ブイ・ドイ)、なんとしても夢の国、アメリカに渡ろうとするエンジニアの執着…。物語の縦糸となるのはキムとクリスの愛ですが、横糸にはベトナム戦争の生々しい爪跡が織り込まれています。

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