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新たな命を吹き込まれたビートルズ・ナンバー「アクロス・ザ・ユニバース」

クライマックスは街中のライブ

 印象的なシーンは多々あるが、人種差別をきっかけに勃発したデトロイト暴動と、戦死したルーシーの元恋人の葬儀のシーンとがオーバーラップし、そこで「レット・イット・ビー」が歌われるシーンは胸に残る。黒人の少年が歌う導入部から、やがてそれが聖歌隊のゴスペル調になる。ここではあの名曲が鎮魂歌として切々と歌われるのだ。

 ルーシーと些細なことで喧嘩になったジュードは、イチゴを投げ付けたりしながら、それをモチーフにしたアートを作り上げる。そのプロセスで歌われるのは「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」だ。このイチゴの赤とキャンバスの白の対比が、美しいハイビジョン映像で見ることができたらなお一層感動的。そうした点では、BD(ブルーレイ)盤で観賞されることを強くお薦めしたい。

 サラウンドが存分に活躍するシーンとしては、マックスが徴兵検査を受けてから出兵するシーンまでがおもしろい。「アイ・ウォント・ユー」が、兵役を促す例の有名なポスター/キャラクターとダブり、「シー・イズ・ソー・ヘヴィー」は、マックスたち若い米兵が自由の女神像を背負って進軍しているシーンで歌われる。検査官とのダンスや戦場の銃撃戦などがサラウンドする、誠にユニークな仕掛けといえよう。BD盤ならば情報量の多いドルビーTRUE HDでサウンドを存分に楽しむことができる。

 クライマックスは、失意の底から再びアメリカの土を踏むジュードを迎えに、マックスが「ヘイ・ジュード」を歌い、それはそのまま街中のビルの屋上でのゲリラ・ライブ(おわかりですよね!?)での「ドント・レット・ミー・ダウン」「愛こそすべて」へとメドレーされる。ここの演出は本当に心憎い。

 字幕を出しながら見てももちろん構わないが、かつてレコードのライナーノートを穴の開くほど見た「セカンドステージ」世代には、歌詞の意味などきっと不要だろう。字幕を消し、新鮮に蘇ったビートルズ・ナンバーにどっぷりと浸っていただきたい。

(小原由夫/オーディオ・ビジュアル評論家)
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