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全米大ヒットの「ダークナイト」 なぜ日本では受けなかったのか

バットマンの存在に苛立つ社会
DVD販売元
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
作品名
ダークナイト

 謎の覆面強盗団による銀行襲撃が続くゴッサム・シティー。組織間の抗争も見え隠れするが、警察や検察の汚職も匂う。そんな都市の闇夜をたった一人で犯罪撲滅に立ち向かう“暗黒の騎士(ダークナイト)”バットマン。

 そこに颯爽と現われたのが、ハービー・デント地方検事。犯罪組織や汚職を次々と摘発する辣腕で、待望の“ホワイトナイト”の登場に人々は歓喜した。ジム・ゴードン警官との3人で犯罪一掃の成果を見せ始めた矢先、邪悪な犯罪者ジョーカーが現われた。その常軌を逸した悪事やアナーキーな言動によって、ゴッサム・シティーの人々はもちろん、警察やデント検事、果てはバットマンまでが翻弄される。ジョーカーは、バットマンが正体を明かさない限り、無差別殺人を続けると宣言したのだ。

 犯罪のない街、人々の安全な暮らしのため、自分の身を呈するバットマン。にも関わらず、周囲はバットマンの存在にいささか苛立ち始めている。つまり、自らの道義で悪を処刑することへの社会の目が変わり始めたのだ。社会からの疎外感と自己の存在に矛盾を感じ始めたところに現われた生身のヒーロー、デント検事に、バットマンは役割を託そうと考え始める。ジョーカーの悪事の数々は、バットマンのそうした思惑をぐらつかせ、果てはデント検事を悪の道に引きずり込み、街全体を罠にはめるのである。

 人間の奥底に潜む善と悪はまさに紙一重であり、勧善懲悪の危うい裏表、モラルの薄弱さを見事に炙り出した展開は、脚本の巧みさもあって、2時間30分という長尺をまったく飽きさせずにハイテンションのまま一気に突き進む。哲学的なストーリーではあるが、老若男女が楽しめる仕掛けをそこかしこにちりばめた点も抜かりない。つまり、作品に望む視聴者の姿勢如何で、本作は深く考えさせられる要素もあれば、アクション娯楽大作的な堪能も可能という、稀に見る真のエンタテインメントということができよう。

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