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ブラックユーモアたっぷりのお伽話「チャーリーとチョコレート工場」

 奇妙奇天烈にして摩訶不思議なチョコレート工場内の様子は,最新のプラズマディスプレイや液晶テレビで観ると,溜息が出そうな美しさで再現されることだろう。特にチャプター14の工場内庭園の毒々しいまでの極彩色が圧巻。チョコレートの滝や川のトロッとした粘質感を出すのに,バートン監督はかなり苦労したという。しかも,これらはCGやVFXでなく,スタジオ内に巨大なセットを造ったというから恐れ入る。そのカラフルかつサイケデリックな色彩感がどう再現されるかで,お宅のテレビセットのクオリティがわかる。

 工場内は,まさしくテーマパークのアトラクションを彷彿とさせる。文字通りの子供だましである。端々にディズニーランドを模したような雰囲気があるのは,バートン監督の意図のようだ。また,古き良き時代のハリウッド映画のパロディも随所に出てくる。

 驚嘆させられたのは,チャプター23のナッツの選別室。無数のリスがクルミの殻を剥くこのシーンも,半年以上かけて本物のリスを調教し,CGは必要最低限の使用に抑えたようだ。その鳴声のサラウンドは,エコーを伴ってグルッと広がる。閉塞感と残響感が音から感じ取れておもしろい。ここで犠牲になるのが英国のワガママ娘。ウンパ・ルンパのフォークロック調の歌が,これまた大笑いだ。

 最後に,個人的にどうしても引っ掛かっていることを一つ。なかなかゴールデンチケットを引き当てられないチャーリーが,3度目でそれをゲットしたのは,路上で拾ったお金で買ったチョコ。家族思いの素直な子として描かれているチャーリーが,拾得したお金を届け出なかったことに,良心の呵責はなかったのだろうか……。

(小原由夫/オーディオ・ビジュアル評論家)

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