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![]() 来日40周年ということで何かと騒がしい今年の日本とビートルズ。思えば彼らほどロックやソウル、ポップスのジャンルを超えて今もカバーされ続けているアーティストはいない。 今回CD Clubからご紹介するのは、数多く存在するビートルズ・カバーの中からより抜かれた12アーティストによる全17曲の特製コンピレーション。ロック『ジョン・レノン&ポール・マッカートニー・ソングブック 』。ポップスからフォーク、レゲエにワールドミュージックまで、幅広いジャンルにわたってビートルズの名曲が見事にリメイクされている。 まずは、根っからのビートルズ狂だということがよくわかるパワーポップ・バンドの大御所チープ・トリックの「マジカル・ミステリー・ツアー」と「デイ・トリッパー」。ロック界のやんちゃ坊主らしく正攻法で元気よくカバー。ビートルズが最初に始めた日本武道館でのコンサートをライブ・アルバム『チープ・トリックat武道館』で世界的に広めたのも彼らだった。 現代最高のポピュラー歌手にしてソウル・バラードの歌い手であるマイケル・ボルトンは「イエスタデイ」をドラマチックにバラード化。これがポップ・フィールドらの現代的なアプローチだとしたら、その60年代版が当時大人気の正統派フォーク・コーラス・グループ、ブラザース・フォアのカバー。彼らのような大人のグループがビートルズの楽曲の良さを認めてカバーしたこと自体が画期的な出来事だった。ノルウェーというよりちょっと中近東風なアレンジの「ノルウェーの森」「ミッシェル」ともに、さすがの出来映え。 アコースティックな新世代ジャズを聴かせる夫婦デュオ、タック&パティの「イン・マイ・ライフ」は彼らにぴったりの選曲。オリジナルを収録したCDが現在は入手困難なので、この選曲はうれしい。順番が前後するが、貴重という意味では、フーターズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」は、彼らのよほどのファンでないと聴き逃してしまってそうな貴重なライブ・バージョンだ。80年代にデビューし、バンジョーを加えたルーツ・ロック的な編成で通受けもした彼ら。彼らが選ぶビートルズ・ナンバーとしては異色な感じがするが、ジョン・レノンを少し意識したボーカルには、ストレートな憧れがうかがえる。 原曲のブラス・セクションを見事にバージョン・アップして完璧に自分たちのものにしてしまったのがアース・ウィンド&ファイヤーの「ガット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」。全米チャートでもトップ10入りし、彼らにとっても代表曲となっている。有名と言えば、日本で某自動車メーカーのCMソングとしてしきりに流されたユッスー・ンドゥールの「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」も忘れてはならない。 軽快なビートに続けて、イギリス・レゲエ界から二組のアーティストを。シンプリー・レッドでも活躍中の日本人ドラマー屋敷豪太率いるザ・パシフィスツ「カム・トゥゲザー」「レット・イット・ビー」「愛こそはすべて」と、レゲエ界最高の歌姫ジャネット・ケイ「ラヴ」「イマジン」。ゆるやかで情感豊かなレゲエ・フレイバーでビートルズ(ジャネット・ケイがカバーしているのはジョンがソロになってからの曲)のメロディの良さが浮き上がる。 今で言うオーガニック・ソウルの先駆けとなる秀作を70年代に発表した黒人女性シンガー、フィービ・スノウの歌う「ドント・レット・ミー・ダウン」が、とても胸にしみる。胸にしみる歌声ならロバート・パーマーも素晴らしい。惜しくも亡くなってしまったこの天性のボーカリストが歌う「ロング・アンド・ワインディング・ロード」に感動以外の言葉はない。 駆け足で紹介させてもらったが、このCD、いわゆる企画モノの範疇に入るのだが、感動できるポイントと変化球が要所要所で押さえられていて、通して聴いて楽しめる。何より、ビートルズの原曲に負けていないカバーの完成度が、ビートルズ以上にカバーしている12のアーティストに目を向けさせる役割を果たしている。 これを入り口にビートルズを聴き直すもよし、それぞれのアーティストの作品を聴いてみるのもよし。秋の夜長の楽しみ方をビートルズが二通り教えてくれた。
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