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桐たんすは「収納の王様」 その効能と用途を知る~桐たんす「相徳」社長 井上雅史さんに聞く~

古くなったたんすも削り直せば新品同様に

 正直な商いをしている会社ばかりではない。国産の桐と称して、外国産の桐を販売している業者も少なくはない。消費者はこれまでよりも賢くなる必要が出てくるわけだが、国産と外国産の簡単な見分け方はあるのだろうか。

 「別々に出てきた時に見分けるのは難しいと思いますが、二つを並べてみると、違いが分かりやすいかもしれません」と井上さんが用意してくれたのは、会津桐と中国産の桐板だ。

下が中国産の桐、上が会津産の桐 (画面をクリックで拡大

 2枚を交互に見比べると、確かに違う。会津産の桐はうっすらピンクがかっており、光沢があるのに対し、中国産は黄味がかっていて、木目も大雑把な感じだ。

 「触ると一番よく分かるんですよ。こう、手のひらをべたっと置いてみてください。会津桐のほうが人肌というのか、少しだけ温かいんですよ」。

 木の温度が違う? 半信半疑で言われた通りに触わってみると、本当に会津桐のほうが若干温かい。最初に、右手で触ったのだが、気のせいかと思って、左手で試してみても、やはり同じだった。

 「いじっていると、もっとよく分かりますよ。会津桐はだんだんに、艶が出てくるんです」

 古くなった桐たんすは削り直すことで、新品と見まがうばかりになる。母や祖母の代の桐たんすのある家は、ぜひそうして生き返らせてもらいたい。相徳に削り直しの依頼が来るのは、昭和初期、戦前あたりの桐たんすが一番多いという。

 「200年から300年、3代分は簡単に持ちます。建物のほうが、よほど持たない。」と井上さんはきっぱり。桐たんすは一棹の値段は張るが、親子何代も使い続けられると思えば十分に安い。

 ちなみに、相徳で桐たんすの更生を頼むと、幅94cm程度、奥行43cm程度、高さ160cm前後の大きさのもので14万7000円(税込)。これはサイズによって若干値段が変わる。また東京・神奈川(県東部)、千葉(東京寄り)、埼玉(南部)に限定。ただし相徳で購入の桐たんすは上記地域以外でも受注するそうだ。

 日本で桐たんすが使い続けられてきたことには、想像以上に科学的な根拠があった。桐たんすに収納する習慣は、日本の風土との密接な関係の中でこそ、生まれ育ったと言えるだろう。「国産は良質である」と闇雲に信じるのではなく、その根拠にまずは目を向け、知ろうとする姿勢を大事にしたいと思う。今回は、桐たんすを再認識するためのいい機会になったように思う。

相徳の店先に並ぶ桐製品。ミニ下駄や手鏡はお土産にも最適だ

桐たんす相徳
定休日:木曜 営業時間:午前10時~午後6時


筆者プロフィール

吉田加奈子(よしだ・かなこ)
1975年生まれ、お茶の水女子大学大学院修了。きもの文化研究家の中谷比佐子氏が主宰する秋櫻舎のスタッフ。和洋折衷の着物文化について研究後、よりタイムリーで実践的な活動の場として秋櫻舎に入る。着物姿の美感など、日本のソウル(魂)に向かう日々を送る。
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