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桐たんすは「収納の王様」 その効能と用途を知る~桐たんす「相徳」社長 井上雅史さんに聞く~

桐たんすの用途いろいろ

 熱伝導率が低いのも桐の特性だ。「桐たんすは火事になっても燃えない」と聞いたことがあるが、他の材質に比べて極めて燃えにくいというのは事実だという。井上さんに、火事の被害にあった桐たんすの写真を見せてもらった。表面は真っ黒に焼け焦げているのに、引き出しを開けると、中の木肌は白いままなのだから驚きである。

 「家具にウレタンなどの化学塗料が塗ってあると、かえって火がつきやすいんですよ。大切なものをしまう箱としては、湿気のほかに火事対策という点でも、やはり桐が最適ですね」と井上さん。

 「大切なものといえば、お金もですか」と半ば冗談で言うと、「お金、通帳、印鑑を入れるのにも適しています。昔の金庫は、内側に桐が張ってありましたから。たんす屋には、金庫屋という分野の職人もいたくらいです」と思わぬ答えが返ってきた。

 「ただし、桐たんすは湿気や火事には強いですが、泥棒には弱いので注意してください(笑)」とのこと。いくら鍵のついた引き出しでも、泥棒の強引な力技にはやはり抗いがたいものだ。

 既製品文化にすっかり慣れてしまった私たちにはあまり縁がないが、相徳の桐たんすは基本的にオーダーメードだ。「作り置きしても注文を聞いてから作っても、どちらにしても職人の手作りなので、かかる手間は変わりません。いつも同じデザインの製品を作るのもつまらないですしね」と井上さんは言う。

桐たんすの扉を開けたところ。上のほうに着物が入る。

 お客によってたんすの用途も異なる。着物よりも帯をたくさん持っている人なら、帯を入れる引き出しが多いほうがいい。置き場所もそれぞれ異なるので、そういう事情に合わせると、既製品では間に合わないわけだ。着物も本来は、白生地から選んで地色を決め、柄を考えるというオーダーメードだ。この時の呉服屋や職人とのやり取りはとても楽しいものである。物が違っても、こうした楽しさは変わらない。

取っ手の細工部分も美しい

 「扉や引き出しの取っ手の金具に、好きな絵柄や名前を彫ることもできます。ご自分で図案を描いて持って来られる方もいますよ」。注文から完成まで約2カ月。こんな風にして誂えたたんすには、やはり愛着がわくだろう。


 
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