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夫婦で愉しむ和の世界
桐たんすは「収納の王様」 その効能と用途を知る~桐たんす「相徳」社長 井上雅史さんに聞く~
2007/11/16

 唐突ながらお聞きしてみるが、「あなたのお家に、桐たんすはありますか?」

 ふた昔ほど前の日本では、桐たんすは“嫁入り道具”の代表格だった。結婚する娘たちは、冠婚葬祭などに必要な着物の一式をたんすに入れて、嫁ぎ先へ持っていったものだ。「女は一生家なし」といわれた時代、娘に対する親の愛情が、桐たんすの支度に込められていた。

 今でも北陸地方など、こうした風習が根強く残っている地域もあるが、世の住宅事情やブライダル様式の変化とともに、桐たんすが一棹(さお)ある家というのは、随分珍しくなっている。

 一方で、桐たんすの需要が消え去ることもない。それは桐たんすのクオリティが優れているからに他ならない。ただノスタルジックな意味合いを持つだけなら、桐たんすというジャンルは、とっくの昔に消えていただろう。

1880年創業「相徳」の4代目
桐たんすの「相徳(あいとく)」の井上雅史社長
(写真:皆木 優子、以下同)

 今回は、東京JR品川駅から徒歩3分に立地する桐たんすの老舗「相徳(あいとく)」の井上雅史社長に、桐たんすの特性や用途などについてお話を伺った。

 「相徳」の創業は1880(明治13)年。指物師(板をさしあわせて箪笥や箱、机などを作る職人のこと)であった初代の徳次郎氏が相模の国から上京し、東京の三田(1976年まで)に桐たんす専門店を出したのが始まりである。相徳という名称は、初代の故郷相模と徳次郎の一字を取って付けられた。現在のご主人の井上さんは4代目。「3代続けば江戸っ子」ならば、井上社長は正真正銘、芝生まれの江戸っ子である。

 ちなみに歴史の古い会社では、このように出身地や名前の一字を取ったり、初代の姓名を縮めたものをよく見かける。京都の着物問屋などにはこうしたネーミングが多い。趣があるばかりでなく、口に馴染みやすくていいものだ。

創業当時の相徳。店先に並ぶたんすは全て婚礼用の注文品

 そもそも「桐たんすは着物を収納するもの」という概念が、私たちの頭の中には確実にインプットされている。ところが井上さんによると、「確かに購入する方の90パーセント近くは着物や帯の収納が目的ですが、それ以外のものを入れる方もいらっしゃるんですよ」。

 桐をたんすとして利用する歴史はそれほど古くなく、もともとは非常に大切な物を保管する収納箱として桐が使われていたというのだ。それではなぜ杉や檜ではなく、桐が収納に向いているのだろうか。これには、日本の気候の特色が深く関わっている。


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