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夫婦で愉しむ和の世界
初めての寄席を楽しむために 噺家 桂 歌助さんに聞く
2007/08/24

落語芸術協会所属の桂歌助さんは桂歌丸一門
(撮影:山田愼二)

 数年前のTVドラマの影響か、落語がブームになっている。寄席に行けば、出演者のうち必ず1人は「ちょっとめー(前)までは、客席が埋まるなんてぇことはありませんでしたが、どうも最近はおかしな具合になっておりまして。え、実に有難いことなんでございますが…」などと、その盛況振りを口にするほどだ。人気の噺家が高座に上るときなどは、立ち見も珍しくない。

 そんな落語の魅力について、噺家の桂 歌助(かつら・うたすけ)さんにお話を聞いた。噺のプロにインタビューするというのは緊張も一塩だったが、テンポのいい返答に、いつの間にかこちらの気分もノってくる。「一度、寄席には行ってみたいが、なかなか…」という落語初心者のために、分かりやすく楽しく語ってもらった。

 新潟県十日町市出身の歌助さんは、大学進学で上京。東京理科大学で数学を専攻していたときは教師を目指していたという。それが「何をマチガったか」、在学中の昭和60(1985)年、「笑点」でもおなじみの桂 歌丸師匠への入門が決まり、修業の日々が始まる。平成2(1990)年、二ツ目に昇進の際に歌児から現在の歌助に改名、真打に昇進したのは、平成11(1999)年だ。噺家になってよかったことは、何よりも「皆に笑ってもらうこと」だという。

江戸落語界にだけある「真打制度」

 歌助さんの経歴からも分かるように、噺家になるにはまず師匠を見つけて弟子入りし、その一門に入門する。江戸落語界の場合は「真打制度」といって、修業をしながら前座、二ツ目、真打を段階的に上がっていく(「真打制度」は東京だけで、大阪を中心とする上方落語界にはない)。前座で3~5年間、二ツ目で7~15年間が相場といわれている。

 前座の仕事は、いわゆる下働きである。ほとんどは師匠の家へ通い(昔は住込みが一般だった)、洗濯、掃除などの家事、師匠の身の回りの世話をする。寄席の楽屋では、師匠の着物の着付けや始末、お茶出し、ネタ帳つけ、出番調整、舞台上では、座布団の返しなど、舞台のスムーズな進行のための雑事一般をすべて執り行う。落語界のルールや礼儀作法は、前座時代に叩き込まれる。365日ほぼ休みなしである。

 紋付の羽織を着て人前で落語ができるようになるのは、二ツ目から。前座時代の雑務からは解放され、「あにさん」と呼ばれるようになる。しかし、いきなり「一席いくら」の仕事を自分で取って生計を立て、ご贔屓筋も獲得していかなければならないという、非常に厳しい時期でもあるという。この時期にきっちり芸を磨き、人気、実力ともに認められると、晴れて真打に昇進。「師匠」と呼ばれ、人に落語の稽古をつけたり、弟子を取ることが許されるようになる。二ツ目との大きな違いは、寄席の高座でトリ(主任)を勤める資格を得られる点である。

【関連記事】 噺家・柳家三之助の「落語の世界へようこそ」
 第5回 前座のお仕事
 第6回 一人前の噺家に


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