ここから本文です

大人なら当然知っておきたい男と女の着物の違い~「おはしょり」と「身八つ口」~


身八つ口の色っぽい使い方

 昔は着物人口が多かったため,殿方も着物を着た女性の扱いをよくご存じだった。しかし時代は変わり,男性も着物姿の女性に接する機会自体がめっきり少なくなった。このため,着物を着た女性に対して,スマートかつスムーズに振舞える殿方の数が,愕然とするほど減ってしまったというのである。

 たとえば,着物姿の女性と一緒にいて少し色っぽい雰囲気になった時,そしてその女性にちょっと手を出したい時,あなたならどうするだろうか。

 あるクラブのママは,こう語る。「昔の殿方なら,着物の脇に開いた身八つ口から,すっと手を入れてきたものよ」と。しかし最近の男性は,身八つ口があることを知らない。だから,衿元から手を入れようという「不躾をなさる」のだと言う。これでは,衿元はぐしゃぐしゃに乱れて着崩れてしまう。「着物を着た女のほとんどは,衿元が崩れるのを何よりも嫌うのに…」とママ。身八つ口というのはこうした時にも役立つということを,覚えておくのもいいかもしれない。

 女性の身八つ口や振りからは,ちらちらと長襦袢が見える。長襦袢のオシャレがあるほどに,時々見えるこの「ちらちら」は,女性にとっては着物の醍醐味であり,腕の見せ所なのだ。奥から違う色がのぞけば,猫ではないが,やはり心躍るものがあるだろう。

 女性の着物を見る時,見え隠れする長襦袢を観賞する目を持つと,着物姿の女性と対面するのがもっと楽しくなると思う。絵画や舞台と同じで,「見所」を知ると俄然面白くなるし,理解が深まるのだ。

 ちなみに着物を着た女性が,高い戸棚から物を取ったり,電車の吊り革につかまったりする時のしぐさとしては,反対の手で袖口に手を添えると美しい。袖が落ちて腕が露わになったり,脇が丸見えになるのを静かに防ぐ。

 こうして,普段は袖で隠された腕が,ちょっとした機会にちらりと見える…。これも,着物を着た女性の魅力の一つかもしれない。

筆者プロフィール

吉田加奈子(よしだ・かなこ)
1975年生まれ,お茶の水女子大学大学院修了。きもの文化研究家の中谷比佐子氏が主宰する秋櫻舎のスタッフ。和洋折衷の着物文化について研究後,よりタイムリーで実践的な活動の場として秋櫻舎に入る。着物姿の美感など,日本のソウル(魂)に向かう日々を送る。
この記事のバックナンバーを読む
前のページへ 1ページ 2ページ 3ページ 4ページへ 次のページへ
 
「セカンドステージ マガジン」 配信開始
セカンドステージでは,HTMLメール「セカンドステージ マガジン」の配信を始めました。毎週1回水曜日に配信いたします。
サイト上の更新情報やイベント,セミナーの情報をお送りするとともにメールならではの特典,イベントの提供をいたしていく予定です。
メール配信をご希望の方はこちらのページからで配信登録をお願いします。

→バックナンバーはこちら

セカンドステージ メールマガジン
サイトマップを見る
セカンドステージ連載一覧


日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る