Q: 時代と共に葬儀の形式がある程度変化するのは仕方がないように思えます。 A: 葬式、葬儀というのは、遺族の心の襞に寄り添うようにして、懇ろに、優しく、丁寧に行われたものであり、今もそれは変わっていないと思います。 もちろん時代も状況も変化していますから、様相は変化してかまいません。遺族に精神的な負担をかけていた慣習があれば見直していいでしょう。 しかし「合理的」の一言で、本来、葬儀は人間的プロセスなのに、これを「1日」の点にしてしまうことが、遺族にとっていいことなのか、よく考えるべきでしょう。 葬祭業者も「消費者が希望するから」と「一日葬儀」をうたうのは見識がない、と思うのです。 私の考えが古いとお考えの方もいらっしゃるでしょう。何も「葬儀にお金をかけよ」と言うのではないのです。大切な家族の葬儀なのだから、丁寧に死者の傍らに寄り添い時間をかけて行ってもいいのではないでしょうか。 腐敗を怖れるならばエンバーミングして防腐をはかることもできます。そこまでしなくとも、せめて3日は寄り添いたいものです。 死者のことを早く忘れて、何事もなかったように日常に戻るのがいいのではありません。死者とできるだけ時間をかけてお別れし、悲しみ、死者のことを心の中に刻み込むために葬儀はあるのではないでしょうか。 その最初の一歩ですから大切に考えたいものです。 (碑文谷 創)
筆者プロフィール
碑文谷 創(ひもんや・はじめ) ジャーナリスト。1946年岩手県生まれ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社勤務の後、1990年表現文化社(当時・表現社)設立。雑誌『SOGI』編集長を務めるかたわら、死や葬送関係に関する評論ならびに講演活動をテレビ・新聞・雑誌等で展開。 著書は『新・お葬式の作法~遺族になるということ~』(平凡社新書)『死に方を忘れた日本人』(大東出版社)『葬儀概論』(表現文化社)『「お葬式」の学び方』(講談社)ほか。監修『お葬式』『自分らしい葬儀』『冠婚葬祭暮らしの便利事典』(小学館)ほか。共著『仏教再生への道すじ』(勉誠出版)ほか。
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