A: 自分の家族のことなどのケースから考えると、自分が自分に責任を取ろうとして可能性があるのは70歳代までのような気がします。80代になると、個人差が大きく、元気でいられる人もたくさんいますが、頭は元気だが身体が言うことをきかなくなる人、身体は元気だが認知症等にかかる人、自分がこのどれになるかは、自分では選択できないのです。もちろんのこと、自分がどのようなケースになるかは本人に責任は一切ないのです。 50代の人に「何歳まで生きたいですか?」と訊いてみると、中には『100歳まで』と答える人がいますが、70代での死を願う人が多いです。介護を経験している人ほどそうです。 「ぽっくり信仰」は高齢者の切なる願いであり、高齢者以前の人たちにとっても理想とするところですが、どんな病気、どんな死が自分にこの先あるかについては、肝心なことは自分では選べないのです。 死だけが選べないのではなく、その前の身体、頭の働きだって選べないのです。昔から高齢者の方はいました。でも希少価値から大切にされて長寿を祝われていました。 しかし、今高齢者であることは珍しいことではなくなりました。いつのまにか高齢者は尊敬の対象ではなく疎まれることさえあるようになりました。 高齢者は病院から追い出され、家庭にも居場所がなく、といって施設も充分ではなく、難民化が始まっています。若い人だけではなく60代前後の団塊世代以降は、歳を重ねることにより、もっと過酷な環境に身を置くことが確実です。残念ながら、それが日本人の未来だと言わざるを得ません。 (碑文谷 創)
筆者プロフィール
碑文谷 創(ひもんや・はじめ) ジャーナリスト。1946年岩手県生まれ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社勤務の後、1990年表現文化社(当時・表現社)設立。雑誌『SOGI』編集長を務めるかたわら、死や葬送関係に関する評論ならびに講演活動をテレビ・新聞・雑誌等で展開。 著書は『新・お葬式の作法~遺族になるということ~』(平凡社新書)『死に方を忘れた日本人』(大東出版社)『葬儀概論』(表現文化社)『「お葬式」の学び方』(講談社)ほか。監修『お葬式』『自分らしい葬儀』『冠婚葬祭暮らしの便利事典』(小学館)ほか。共著『仏教再生への道すじ』(勉誠出版)ほか。
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