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<葬祭編:第53回>葬式は誰のためのものか?

Q: 誰のためかということには答えが無いのでしょうか?

A: 「誰のため?」という問いが発生するということは、葬式が歪められている可能性があります。「死」というのは抽象的なものではないのです。父親、友人、恋人…と具体的な名前と固有の人生を生きた個性ある個人に起こることなのです。

 映画「おくりびと」がアカデミー賞を受賞し、話題を呼んでいますが、あそこにあるのは具体的な人の死です。

 この世を間もなく去るだろうと覚悟した人、突然事故等で近親者を奪われた人、長寿の末だが同時に長く病んだままでの死、さまざまな死があります。その死者と死者の周辺にいた人によって葬儀は固有のものになります。

 葬儀は死者を想って行われるものであるし、死者の存在が自分にとってどんなものであり、死者の不在は何をもたらしたか、感じながら行われるでしょう。

 葬儀の宗教とは儀式の体裁を整えるためにあるものではなく、死者や遺族に対し、どこに行っていたとしても同伴者が常にいるということを示しているのではないでしょうか。


 碑文谷創さんが新刊「Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本」(出版:大法輪閣 1500円)を出版されました。本コラム「冠婚葬祭講座」の記事も一部収録しています。

 



(碑文谷 創)
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筆者プロフィール
碑文谷 創(ひもんや・はじめ)
ジャーナリスト。1946年岩手県生まれ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社勤務の後、1990年表現文化社(当時・表現社)設立。雑誌『SOGI』編集長を務めるかたわら、死や葬送関係に関する評論ならびに講演活動をテレビ・新聞・雑誌等で展開。
著書は『新・お葬式の作法~遺族になるということ~』(平凡社新書)『死に方を忘れた日本人』(大東出版社)『葬儀概論』(表現文化社)『「お葬式」の学び方』(講談社)ほか。監修『お葬式』『自分らしい葬儀』『冠婚葬祭暮らしの便利事典』(小学館)ほか。共著『仏教再生への道すじ』(勉誠出版)ほか。

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