墓地使用料を川や里山再生費用として使う
彼が考えたのは、墓石も骨壷を収めるコンクリートで固められたカロートもない、骨壷さえ使用しないという墓地でした。墓地らしくない墓地です。しかも墓地を使う人から得た墓地使用料を川や里山再生費用として使うという発想でした。 樹木葬の使用約款の目的の項に けっして自然の中に遺骨を放置することが目的ではないのです。初期には使用料20万円のほか環境保全費30万円となっていました。現在は使用料50万円となっていますが主旨は変わりません。 間伐研修に参加する墓地契約者や遺族たちも少なくありません。須川岳(栗駒山を岩手側での名称)の山麓にあり、自然が豊かな地で、雑木林の中のログハウスを利用し自然を満喫する契約者や遺族がたくさんいます。 私は樹木葬が切り拓いた地平を「生と死、自然と墓の共生」と名づけました。 公営墓地でも「樹木型墓地」として横浜市で始まり、東京都でも始まりそうです。墓石を用いない似た形は10年も経過すればいろいろできてきています。東京都で始まれば全国にも波及する可能性があります。 創始者である住職の千坂さんは「形は似ているが理念が違う」と最近は繰り返して言っています。 (碑文谷 創)
筆者プロフィール
碑文谷 創(ひもんや・はじめ) ジャーナリスト。1946年岩手県生まれ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社勤務の後、1990年表現文化社(当時・表現社)設立。雑誌『SOGI』編集長を務めるかたわら、死や葬送関係に関する評論ならびに講演活動をテレビ・新聞・雑誌等で展開。 著書は『新・お葬式の作法~遺族になるということ~』(平凡社新書)『死に方を忘れた日本人』(大東出版社)『葬儀概論』(表現文化社)『「お葬式」の学び方』(講談社)ほか。監修『お葬式』『自分らしい葬儀』『冠婚葬祭暮らしの便利事典』(小学館)ほか。共著『仏教再生への道すじ』(勉誠出版)ほか。
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