遺体を保存するにはエンバーミング
死後の処置と言われる湯灌、納棺をいまは専門家に委ねられる時代になりました。これらの作業で一見は死に顔が穏やかになるのですが、腐敗や硬直の進行は止められません。ですから冷蔵庫に入れたり、ドライアイスをあてたりして腐敗の進行を遅らせるようにします。それでも限度があります。 葬儀を急ぐ背景には、遺体の腐敗が進行し、死者の尊厳が失われるのを怖れる心理があります。 以前(第15回)でエンバーミングを紹介しました。それについてはそちらをご覧ください。一言で言うならエンバーミングは腐敗の進行を止めます。したがって慌てて葬儀をしなくてもよくなります。(日本でも普及するエンバーミング~遺体を消毒殺菌・修復で長期間保存~) 遺体というのは死者そのものです。これをどう扱うかで死者に対する態度が出るものです。その死者は他人ではなく、まさに家族、友人であった、ある人なのです。 「おくりびと」は、死から目を逸らすのではなく、向き合うべきものとして感じさせ、まさに人間ドラマであり、疎まれるべきものでないこと、そこに感動を呼んだのではないでしょうか。 (碑文谷 創)
筆者プロフィール
碑文谷 創(ひもんや・はじめ) ジャーナリスト。1946年岩手県生まれ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社勤務の後、1990年表現文化社(当時・表現社)設立。雑誌『SOGI』編集長を務めるかたわら、死や葬送関係に関する評論ならびに講演活動をテレビ・新聞・雑誌等で展開。 著書は『新・お葬式の作法~遺族になるということ~』(平凡社新書)『死に方を忘れた日本人』(大東出版社)『葬儀概論』(表現文化社)『「お葬式」の学び方』(講談社)ほか。監修『お葬式』『自分らしい葬儀』『冠婚葬祭暮らしの便利事典』(小学館)ほか。共著『仏教再生への道すじ』(勉誠出版)ほか。
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