遺族の想いに心を寄せることが大切
何も僧侶に限ったことではありません。心からこの言葉を言える関係なのか、その想いがあるのかが問われるのであろうと思います。 しかし葬儀では善意から言ったつもりの言葉が遺族の心を傷つけることがあります。 言った人は善意からのつもりですが、遺族は「他人事と思っている」と理解してしまいがちな言葉です。 例えば「泣かないで、笑って」と力づけようとする人。無理に悲しみを抑えようとすると遺族は現実感覚をなくし、その悲嘆は心の奥に閉じこめられてしまいかねません。 同じような言葉に「がんばって!」があります。遺族は「もうこれ以上何をがんばればいいのだろう」と、「気持ちを理解していない」と不信に思いがちです。 子どもを亡くした人に「まだ若いのだから、今度は元気な子が授かるから」と励ましたつもりが、その人は「この子、代わりのいないこの子を亡くした私の気持ちを理解しないで踏みにじる」と敵意さえ感じるかもしれません。 「いまは悲しくとも、時間が解決してくれますよ」 しかし、いま悲しみの中にいる遺族は「そんな簡単な悲しみではない」と怒りさえ覚えかねないでしょう。 もちろん、これはケースバイケースです。マニュアルのように、また「禁句集」のようなものにすべきものではありません。 一つ言えるとしたら、「遺族に対してアドバイスする必要はない」ということです。言うよりも心を開いて「聴く」ということ、遺族の想いに心を寄せることが大切だと私は思うのです。 (碑文谷 創)
筆者プロフィール
碑文谷 創(ひもんや・はじめ) ジャーナリスト。1946年岩手県生まれ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社勤務の後、1990年表現文化社(当時・表現社)設立。雑誌『SOGI』編集長を務めるかたわら、死や葬送関係に関する評論ならびに講演活動をテレビ・新聞・雑誌等で展開。 著書は『新・お葬式の作法~遺族になるということ~』(平凡社新書)『死に方を忘れた日本人』(大東出版社)『葬儀概論』(表現文化社)『「お葬式」の学び方』(講談社)ほか。監修『お葬式』『自分らしい葬儀』『冠婚葬祭暮らしの便利事典』(小学館)ほか。共著『仏教再生への道すじ』(勉誠出版)ほか。
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