地方では飽和状態になり過当競争も
アメリカでは葬祭業者のことを最近では「フューネラルディレクター」「フューネラルホーム」と呼ぶことが多くなっています。 日本の葬儀会館(斎場)は当初は大式場を売り物にしていたので「フューネラルホール」と訳していましたが、今ではアメリカのようにアットホームな「フューネラルホーム」型が多くなっています。 「葬儀会館(斎場)ブーム」は、いかにも葬祭業者が演出したように思えますが、これは消費者ニーズの高まりで起こったものです。当初は「雨や雪でも会葬者を屋外で立たせなくともよい」ということが売りでしたが、実態としては、女性が「自宅で葬儀をしたくない」という気持ちが自宅葬から葬儀会館(斎場)葬への移行を招いたのです。 自宅で葬儀をすると近所や親戚とはいえ、他人が家の中に入り込み、台所を見られたりします。また、自宅で葬儀をすれば遺族とはいえ女性は忙しく働く必要がでます。そこで「自宅に他人を入れたくない」「遺族の女性も弔いに専心したい」ということで自宅葬から葬儀会館(斎場)葬へと動かしたのです。 葬儀会館(斎場)が増えた結果、地域によっては飽和状態にあり、激しい競争を招いているところもあります。福岡、北九州、札幌等がその代表です。葬儀会館(斎場)をもったがために倒産する葬祭業者も出てきました。 よく「(葬儀会館)使用料が無料」と宣伝している葬祭業者がいますが、これは眉唾ものです。回転数にもよりますが、建設費の償却や維持費、運営費で、一般に1件あたり10万円から20万円くらいかかります(1泊2日利用)。これを「無料」としているのは、他の「基本葬儀料」「祭壇料」と言われるものにその費用を含んでいると考えられます。 (碑文谷 創)
筆者プロフィール
碑文谷 創(ひもんや・はじめ) ジャーナリスト。1946年岩手県生まれ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社勤務の後、1990年表現文化社(当時・表現社)設立。雑誌『SOGI』編集長を務めるかたわら、死や葬送関係に関する評論ならびに講演活動をテレビ・新聞・雑誌等で展開。 著書は『新・お葬式の作法~遺族になるということ~』(平凡社新書)『死に方を忘れた日本人』(大東出版社)『葬儀概論』(表現文化社)『「お葬式」の学び方』(講談社)ほか。監修『お葬式』『自分らしい葬儀』『冠婚葬祭暮らしの便利事典』(小学館)ほか。共著『仏教再生への道すじ』(勉誠出版)ほか。
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