(3)の儀礼よりもお別れに価値を置く人も増えています。儀礼をしなければ葬儀ではないとは言えません。それぞれの家族が納得できるお別れができれば、それは立派な葬儀です。しかし、規模は小さくとも、葬儀をきちんとした場合に比べるとそうしなかった人の場合、死の事実確認が充分ではなく、適切なグリーフワークを妨げることもあります。 一口に「直葬」といってもそれを行う家族の想いはさまざまです。全てが悪いとは言い切れません。だが、直葬が増えるのはあまり健全なことではないと思います。遺された者が家族の死に向き合い、惜別の想いをもって弔い、葬りの作業をすることは、いのちの尊厳について身をもって体験する機会となります。 近年、三世代世帯が大幅に減少し、あっても家で看取ることも少なくなっています。若い世代が祖父母という肉親の死を体験することが少なくなっています。 死から逃れることができる人はいません。しかし、死は知識でわかって終わりではありません。身近な人を喪うという体験を通じてのみ死というものがわかり、いのちの有限さ、尊さも実感できるのです。「お葬式を知らない子どもたち」の増加は大きな問題になっていくと思います。 (碑文谷 創)
筆者プロフィール
碑文谷 創(ひもんや・はじめ) ジャーナリスト。1946年岩手県生まれ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社勤務の後、1990年表現文化社(当時・表現社)設立。雑誌『SOGI』編集長を務めるかたわら、死や葬送関係に関する評論ならびに講演活動をテレビ・新聞・雑誌等で展開。 著書は『新・お葬式の作法~遺族になるということ~』(平凡社新書)『死に方を忘れた日本人』(大東出版社)『葬儀概論』(表現文化社)『「お葬式」の学び方』(講談社)ほか。監修『お葬式』『自分らしい葬儀』『冠婚葬祭暮らしの便利事典』(小学館)ほか。共著『仏教再生への道すじ』(勉誠出版)ほか。
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