戦後生まれ世代が当事者となる頃には急増するか
無宗教葬がなぜ流行らないのだろうか?結婚式はファッションとしてチャペル・ウエディングがあっという間に人気を得て主流となったのに、葬式となると日本人は保守的である。 一つは葬式というものは親戚等の意見も反映されるので、なかなか新しい考え方は受け入れられないというものがある。希望しても実行が難しいとする意見である。 しかし、一方では新しい形態である家族葬が急激に市民権を得るほどになっているのであるから、こればかりではないだろう。 墓についても、寺の墓にとらわれない、宗派にとらわれない公営墓地、民営墓地、永代供養墓、散骨(自然葬)、樹木葬と選択肢は拡大している。 問題の一つは「死者の(魂)の安寧」ということにあるのではないだろうか。「浮かばれない」「成仏できない」「死んだ人(の魂)はどこへ行くのか?」という声に無宗教葬は答えられないからだろう。遺族が安心できないからだ。つまり死の事実を受け入れ、心に区切りをつけにくいからではないだろうか。 葬式をしない直葬でも火葬炉の前で僧侶に読経をしてもらうことが多いという(これを「炉前」という)。説明できないが、一切の宗教儀礼を抜きにしては気持ちが落ち着かないのであろう。いったん無宗教葬を行った遺族が四十九日や一周忌を過ぎたあたりで、見知らぬ寺を訪れて法事を依頼することも少なくない。 だが、私は、いまは少ないが無宗教葬は今後増加すると見ている。宗教的無関心層が多い戦後生まれ世代が当事者となる時期が迫っているからである。語呂合わせ的な意味合いが強いが、戦後生まれ世代が高齢者の中心を占める15年後には、無宗教葬は15%程度まで増え、一挙に市民権を獲得するのではなかろうか。 この時、寺はどうなるのか? (碑文谷 創)
筆者プロフィール
碑文谷 創(ひもんや・はじめ) ジャーナリスト。1946年岩手県生まれ。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社勤務の後、1990年表現文化社(当時・表現社)設立。雑誌『SOGI』編集長を務めるかたわら、死や葬送関係に関する評論ならびに講演活動をテレビ・新聞・雑誌等で展開。 著書は『新・お葬式の作法~遺族になるということ~』(平凡社新書)『死に方を忘れた日本人』(大東出版社)『葬儀概論』(表現文化社)『「お葬式」の学び方』(講談社)ほか。監修『お葬式』『自分らしい葬儀』『冠婚葬祭暮らしの便利事典』(小学館)ほか。共著『仏教再生への道すじ』(勉誠出版)ほか。
|
|
日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。
ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。