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2005/07/29
気力の衰え
「本を読み出してもすぐに眠くなる」 「旅行に行ったり,出かけたりしても面白くなくなった」 「退職後に時間が取れるようになって,妻を誘って旅行に出たものの,何を見てもあまり楽しくない」,「面白そうな本を買ってきて読み始めてみても,すぐに眠くなってしまう」--。何かに感動する心や継続する気力が萎えたとき,自らの衰えを感じる人は少なくない。 同志社大の米井教授は「老化は“気”から」という。気力が衰えてしまえば,いつか体も老け込んでしまう。適度な運動や,偏りのない食事をとることはもちろん必要だが,それ以前に,いつまでも若々しく何かに感動して生きていたいという気概がなければ,どんなアンチエイジング法も継続できない。 いかに「気」を奮い立たせ,保ち続けるか。そこにも工夫と知恵がある。 横浜市に住む万年勲さん(62歳)は,「人は,自分が口にした言葉の通りに変わっていく」という信念を持っている。例えば,人を褒めたり,楽しい,うれしいなど良い感情を表す言葉を意識的に口にするようにしている。「楽しい」と言葉にすることで,どんどん楽しくなれる。「言葉は自分に返ってくる」という。 現役時代の苦い経験がもとだ。54歳まで大手コンピューター会社に勤め,コンピューターの保守などの仕事を担当した。納入先の企業から「動かないぞ。直してくれ」と深夜に連絡が入れば,ポケベルで呼び出されて駆けつける。修理する傍らで「まだ直らないのか」と急かされた。もともと性格は楽天的なほうだったが,それでもストレスで胃が痛む日々だった。 「今思えば,『疲れた』,『しんどい』というような『負の言葉』ばかりを吐いていた」と当時を振り返る。心が疲れ,病むことで,胃が痛むという肉体的な影響が出た。他人への悪口や与えられた環境への不平不満など,「負の言葉」は,結局は自分に返ってくる。 だからこそ「今度は逆。宮仕えを終えた今,好きなことをやって,前向きに生きていきたい」と強く思い,「負の言葉」を口にするのは一切やめようと心に決めた。「前向きな言葉が前向きな心や気力を生み,さらには肉体的にもいい影響を与えてくれるはず」だからだ。 さいたま市に住む大浦佑次さん(74歳)は,仲間内で語り合う際に,自分たちの年齢を7掛けにして呼び合う。つまり大浦さんは,仲間と一緒にいるときには52歳になるわけだ。また「年をとった」,「老けた」などの失言をすれば,その場で100円の罰金を徴収されるルールになっている。 万年さん,大浦さんは,ともに,「自分は若い」,「楽しい」とあえて口に出すことで,気持ちを前向きな方向へ引っ張り上げている。繰り返し口にすることで「嘘から出たまこと」を期する“念仏効果”とも言うべきか。「老いは気から」,そして「気は言葉から」というわけだ。 ただし,「楽しい」という言葉を口にするように心がけても,そもそも「楽しい」と思えることが少なければ実行するのは難しい。熱中できること,楽しめることを見出す工夫をこらしている人もいる。
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